『深夜時間が変わるとき』



真夏のある夜、ふと外にでてみた。

僕にとってこの学園は、とても楽しいところ。
待っていれば向こうから楽しみがやってくるのだから、きっと良い場所。
だけど・・・、時々外に出たくなる。
それも昼じゃなくて、夜誰も出歩かないような今日と明日との境目に。

別に昼が嫌いなわけではないけれど、なんとなく夜も好き。
ほら・・・、だって・・・、まるで僕を誘うかのように、どこか遠くから言い争いの声が聞こえてくるでしょう?
きっとそれは僕への合図。
ほら・・・・、なんだか楽しそうな予感がするよ。






「なんでお前がここにいんだよ!」

「いつ何処にいようと俺の勝手だ」

「よくねぇ!!ここは俺だけの場所なんだ!」

「なら、今日から俺の場所だ」

「んだと!?」



ぴょこっと茂みから覗いてみれば、なんだか楽しそうな声。
前髪が特徴的な男の子と、赤髪で長髪な男の子が、喧嘩をしている。



一方は景色になど見ぬきもせず、もう一方を怒鳴り続ける。
もう一方は一方を見ぬきもせず、景色に目を向ける。



う〜ん・・・、なんだかなぁ・・・。
とても面白い光景だな〜
他人の目から見れば仲が悪いように見えるけど、僕から見ればいちゃついているようにしかみえない。

もう一方が居たって、無視すればいい話なのに、わざわざ怒鳴りつけるのは、きっと相手を意識している証拠。
それに、わざわざ受け答えするのも、一方を意識いているからなんだよね?
もうほんと・・・、面白いなぁ〜



くすくすと笑いながら二人を見守る(いや、観察といったほうが的確かな?)

だんだんと喧嘩はヒートアップしてきて、ついに一方がもう一方に手を上げる。
あーあ、そんなに振りかぶったりしたら・・・。
ここ、決してあしばがいいわけじゃないのになぁ〜・・


考えているうちに、大きな水音がする。
ほら、やっちゃった




「・・・・・・・・っ〜〜〜!」

「何をしているんだ・・・、馬鹿が・・・・」
「うるせぇ・・っ!」



馬鹿にしながらも落ちた子に手を貸すもう一方・・。
恥ずかしさからか、顔を真っ赤にさせながらも、伸ばされて手をしっかりと掴むもう一方・・・。


本当、かわいい。
カメラがあれば絶対に撮っていたのに。
なぜ持ってこなかったのだろうと、ちょっと後悔してしまった。




引き上げたられたほうの服はビチョビチョで、それを見た引き上げたほうは、どっから出したのかタオルなんて貸してあげて。
あえて自分で拭かないとこらがかわいらしい。
きっとそんなことをするとますます彼が照れてしまうのを知っているから
だからあえてぶっきらぼうにタオルだけを貸してあげて、自分は見てないふりをして、相手に印象づけて、
ほら・・・・・とっても恥ずかしそう。
後気まずそう。
恥ずかしさからかどうでもいい言葉まで言ってしまって。
逆にそれが怒りをかって
また喧嘩を始める。



ほんと・・・・、喧嘩するほどなんとやら、・・・ってやつだね。
きっとそれが彼らにとっての幸福なのだろう。
相手がいて、自分がいる。
それで初めて喧嘩というものはできるんだよ?
とっても幸せなことじゃないか。
ほら・・・・・・・なんだか楽しそう





「あ・・・・・・」



思ったときにはもう遅く、自然と重なる影。
その瞳はどこか挑戦的。
やれやれ・・・・・、ほんとにこの二人は・・・・・・・。
思わずため息が出そうだった。



だけど、蛍に囲まれた池をバックに笑う二人を見たら、なんだか僕まで幸せな気分になった。
隠し持っていた残り枚数一枚のインスタントカメラ。
思わずぱしゃりと写真をとり、微笑んでしまう。
さてはて・・・・、これを明日二人に送りつけたら・・・・どんな顔をするだろうか?
いやそれよりも校内の掲示板に張り出してしまおうか?
なんて考えてみる。
まあでも、今日は面白いものを見せてくれた二人に免じて、生徒会室に貼るだけで我慢してあげましょう。
後はきっとあの人が、なんとかしてくれるから。


明日二人に起こる災いを想像して、思わず笑いそうになる。
ほら・・・・、こんなことがあるから夜の外も嫌いじゃない。
昼の学校も楽しいけれど、夜のお外も楽しいんだよ?





そういって笑う、今日の僕の一番の想いでは、
『幸せそうに笑う後輩達の写真でした』






END



あとがき、みたいなもの。

夏の夜って神秘的だな、と思い、思うがままに書いてしまいました。
反省はしています。でも、自分なりに書き上げたので、後悔は無いと思います。
・・・・・・・・・『反省はしている、が、後悔はしていない(笑)』






おまけ