『十人十色な彼らたち』
こっ、こんにちは。
僕の名前はヒビキ。
ゲーム学園に通う中学二年生です。
今日はちょっと遠くまで散歩に来たんだ。
そうしたらここらで有名なポケスペ学園まで来てしまった。
せっかくなので少し覗いていこうかな、と一歩足を踏み入れようとしたんだけど、それはあまりにも失礼なので今やめようと思い直したところ。
だけどその数秒後、僕はあっさりポケスペ学園に入ることになる。
その理由は・・・。
「危ねぇ!!」
「え・・・」
ドンッと後ろから凄い衝撃。
うつぶせに地面に倒れてしまい、鼻を打つ。
あまりの痛さに少し涙目になりながら上を見上げると、そこには僕が。
・・・・あ、僕、というより、僕にそっくりな人と言ったほうがいいかな。
こんなにそっくりな人ははじめてみた。
またカナデに話すことが増えちゃった。嬉しい。
でも、少し恐いかも。
なんか目つき悪いし・・・、もしかして不良!?
「あー・・・・、やっちまったな」
少しおびえる僕をよそに、その人は僕に手を伸ばし立たせると、今度はその人が驚いた顔をする。
そしてごめんとか急いでてとかあたふたとしどろもどろ謝罪の言葉を述べ始め、少しずつ僕から遠ざかる。
もしかしてそっくりだからかな?
ドッペルゲンガーと勘違いされたのかも。
えっと、確かドッペルゲンガーは話さないよね?
じゃあ何か話せば大丈夫だよね。
「あ、あの、僕・・・・」
その人を安心させようと話し始めたけど、その声は後ろから聞こえてきたもっと大きな声にかき消されてしまった。
驚いて後ろを振り返れば、そこにはまた僕が。
・・・・・・え?なっ、なんで?
まさかこの人がドッペルゲンガー!?
・・・あ、でも、話したよね。
それに、世界には自分とそっくりな人が三人は居るって言うし、いいのかな?
・・・・いいんだよね?
おどおどとした瞳でその人を見つめれば、こんにちはと笑いかけられてしまう。
その笑みがあまりにも綺麗だったので、思わず赤面した。
恥ずかしくって下を向けば、その人がくすっと笑った気がした。
ああ、なんか、僕にそっくりな人だけど、僕なんかよりずっと綺麗な人だ。
心の中でそう思い、耳から聞こえてくる会話を聞くことに集中することにした。
「なっ、なんでハートが二人!?」
「いやだな〜、ゴールド先輩。この人は全くの別人ですよ〜。分からなかったんですか?」
「分かるわけねーだろ!!」
しばらく会話を聞いていれば、幾分この人たちのことが分かる。
どうやら最初にぶつかってきたほうの子はゴールドと言って、さっき来た子のほうはハートというらしい。
ゴールド君は、ハート君のことを恐がっていて、ハート君は、ゴールド君の知り合いなのかな?
で、ゴールド君がハート君にそっくりな僕を、ハート君と勘違いした、とういうことだろうか。
なんとなく今の状況が分かり、一人で納得する。
すると二人が突然こちらを振り返り、思わずびっくりしてしまった。
「で、こいつは誰なんだよ」
「さぁ〜、さすがにそこまでは。でも、ある程度なら分かりますよ」
「ある程度って?」
「この人は此処からちょっと離れたところにあるゲーム学園の生徒で、中学二年生。今は散歩中で、いたって温厚な性格。
そして恋人が居て、お菓子作りが趣味。後は・・・、この一週間の間に恋人と会った、って事ぐらいかな」
「めちゃくちゃ分かってんじゃねーか!!」
「いやだな〜、このぐらいは常識ですよ」
すっ、凄い。
全部当たってる!?
でもなんでばれたんだろう。
学校とかは制服で分かるかもしれないけど・・、お菓子作りが趣味とか・・・、こっ、恋人がいるとか・・・・。
一体どうして?
「・・・・・・、学校と学年は制服。散歩中だと思ったのは、こんな遠くまで来る理由がそれぐらいしか思いつかなかったから。
どちらかといえばここは山に近いほうだし。性格は、制服に砂埃が付いているからゴールド先輩とぶつかって転んだんだろうなと。
なのに怒らない。とういうことは十中八九温厚な性格ってこと。まあ、たまに腹黒い人や表情に表れない人もいるけどね。
お菓子作りっていうのは、鞄から手作りのクッキーが見えたから。なかなかおいしそうだし。経験を積んでいる証拠。
恋人は・・・、その左手の薬指に付いたリング。普通おしゃれでその指にすることは少ないよね?しかもイニシャル入り。
結婚をする年ではないし、後はもう恋人ぐらいしか思いつかない。・・・・・・OK?」
よっぽど僕が不思議そうな顔をしていたのか、彼はそう説明してくれた。
なぜか隣に居るゴールド君まで納得顔をしていたけど、まあ、きっと彼も分かっていなかったんだろう。
でも恥ずかしいな。恋人が居るってばれるって。
リングのこと今まで誰にもばれなかったのに・・・・、それにこんなに小さいイニシャルまで。
本当に凄い人だ。
「あ、あの、ここ一週間のうちに恋人と会ったっていうのは?」
いつの間にか鞄から飛び出ていたクッキーを拾いながら、僕はそう聞いた。
ほかの事は分かったけど、それだけがどうも納得できない。
彼はにこっとまた綺麗な笑みを僕にみせると、ゆっくりとこちらに近づき、とんっと軽く僕の首に指を置いた。
そして静かにこう言う。
「キスマークは、隠したほうがいいよ?」
「え・・・・、あっ!」
慌てて首筋を隠し、赤い顔で彼を見る。
彼は可笑しそうに笑っていたけど、その表情はたいしてさっきと変わっていない。
・・・・もしかして、あまり興味ない?
というか、この人、さっきから笑顔しか見せてないような・・?
「おい!俺を置いて勝手に話をするんじゃねぇ!!」
今まで黙っていたもう一人の子が、不機嫌そうにそう叫んだ。
僕はびくっとなったけど、彼はたいして驚かなかったようで。
特に気にした様子も無く、僕の髪をなで、ゴールド君のほうへと腕を引く。
それを見たゴールド君は、一瞬逃げ出そうとするそぶりを見せたけど、すぐにやめた。
ちらっとハート君を見れば、なんだか恐い笑い方をしており、思わず目を逸らした。
「なっ、なんだよ」
「いえ、別に。・・・・あ、そうだ、ゴールド先輩。絆創膏、いります?」
「・・・・・・は」
予想外の言葉だったのか、身構えていた彼は一気に肩の力を抜くと、訳が分からないというように首をかしげる。
僕は自然とその首筋に目がいき、ハート君の言葉を納得すると同時になんだか恥ずかしくなった。
かぁ〜と赤面して、なるべくそちらに目をやらないように意識する。
するとそんな僕に気づいたのか、彼は慌ててさきほどの僕のように首筋を隠した。
「絆創膏、いりますか?」
「うるせぇっ!!」
顔を真っ赤にさせながらも、差し出された絆創膏をしっかり受け取るゴールド君。
なっ、なんかさっきまでとは雰囲気違うな〜。
さっきは近寄りがたい感じだったけど、そうでもないかも?
よく表情変わるし、なんだか犬みたい。
くすっと思わず笑みをこぼせば、ゴールド君に睨みつけられてしまった。
慌ててハート君の後ろに隠れ、様子を伺う。
すると彼は黙って首筋に絆創膏を張った。
なんだかぶつぶつと文句を言っているけど・・・、やっぱり笑ったのがまずかったのかな?
悪いことしちゃったな・・・・。
「くそっ、シルバーめ・・・・・・。今度いつか痛い目にあわせてやる・・・・。・・・・・で、ハートはどうなんだよ」
怒りの対象が変わったのか、先ほどより随分落ち着いた様子で彼はそう聞いた。
聞かれたハート君は、俺ですか?と、なんとも楽しそうな声を出すと、痛み分け、って所かな、と答えた。
さっきは気づかなかったけど、よくみると彼の首にも僕と似たような赤い痕が。
どうやら何か塗っているらしく、よく見ないと分からない。
ゴールド君よくこんなの分かったな〜・・・・。
僕、全然駄目だ・・・・。
「痛みわけかよ。つまり、やり返したのか?」
「それはゴールド先輩もですよね〜!」
「まあな。噛み付いてやった」
噛みつっ・・!?
だっ、大丈夫かな。その人。
僕とカナデの場合はちゃんと許可しあうから、そんなこと無いけど、他の人は違うんだな・・・・。
というか、それ以前に男の人かも分からないし・・・・。
って、なんで僕いまここでこんな話してるの?
全然見知らぬ人なのに・・・・。
うう、恥ずかしい〜。
「・・・・どうした?大丈夫か?」
急に青ざめた僕を見て、体調が悪くなったと思ったのか、ゴールド君は心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
その顔は最初見たときと違って、とてもかっこよく、なんだか男前な人だと思ってしまった。
僕達同じ顔なのに、ちゃんと与える印象は違うんだ。
ハート君は綺麗。ゴールド君はかっこいい。
僕は・・・・、平凡。
なんか悲しいな・・・・・。
こんなんじゃカナデに嫌われちゃうかも。
「う〜・・・・」
「なっ、今の俺が悪いのか!?」
いきなり泣き出した僕に、隣に居たハート君に聞くゴールド君。
ハート君はどうでもよさそうにさぁと答えると、つまらなそうに空を見上げた。
目の前ではゴールド君がおろおろとしている。
泣きながら少しずつさっきのことを伝えると、きょとんとした顔になった。
空を見ていたハート君もこちらを見て、おかしそうに笑う。
そして二人声をそろえて、
「「お前は可愛いじゃん」」
と言った。
思わず赤面してしまったのは、二人がとても綺麗で、かっこよかったからなんだろうな・・・。
(ちょっと照れもあったけどね)
「あら〜、なかなか可愛いじゃない」
あれから色々あってなぜか僕は生徒会室に居ます。
目の前にはこの学校の生徒会長のブルーさん。
どうやら二人ともここに行く途中だったらしく、せっかくだからとつれてきてもらった。
さっきのことをハート君が話せば、ブルーさんににっこりと微笑まれそういわれてしまう。
僕の恋人が男だということも言ったんだけど、みんなそれほど驚かなかったし態度も変えなかったから、僕のほうが逆に驚いてしまった。
「ん〜、別に愛があればいいんだよ」
そういうのは赤い目をした僕より二つ年上のレッドさん。
副生徒会長のグリーンさんになぜか抱きついており、グリーンさんも振りほどこうとしない。
周りもなぜか突っ込まないし、これが普通なのかな・・?
「愛があればいいって・・・、相変わらずッスね、先輩」
そういうのはゴールド君。
少し顔が赤い気がするのは、先ほど散々ブルーさんにからかわれたからだろうか。
どうやらこそっりハート君がキスマークのことを話したらしい。
ゴールド君の幼なじみのクリスタルさんは、凄く驚いた顔をしていたけど、それ以外の人はみんなしれっとしていた。
特に今僕の隣に座っている人は・・・・。
ちらっとその人をみれば、なんだといわれてしまう。
すみませんと視線を戻し、ふとカナデのことを思い出した。
この人の名前はシルバーさんというらしい。
僕の・・・その、恋人の、カナデにそっくりで、性格があったときのカナデに似ている。
はじめてカナデとあったときの事を思い出し、少し笑った。
するとじっと見られていることに気づく。
「ど、どうしたの?」
「ケーキ・・・・」
彼は静かにそう言い、僕の目の前にあるケーキをじっと見つめる。
どうぞと差し出せば、嬉しそうに笑った。
彼の名前はソウル。
この子もカナデにそっくりで、こんな偶然ってあるんだなと思った。
性格は今のカナデに似ていて、笑顔が可愛い。
あまりまわりに感心を示してないように見えるけど、ハート君と喋っているときだけ凄く幸せそう。
仲良しなんだな・・・・。
「そんなに甘いものばっかり食べると太るぞ」
「大丈夫。俺はいくら食べても太らないんだ」
「なんだそれ。・・・・・悪いな、ヒビキ君」
「い、いえ」
ハート君にふわりと笑われ、また顔が赤くなった。
それを見ていたソウル君は少し不機嫌そうで、ぷいっと僕から顔を背けた。
・・・な、なんかしたかな。僕。
おどおどと彼を見つめていれば、後ろから大丈夫だよという声が。
振り返ればポニーテールの女の子、イエローさんが居て、はい、と僕に紅茶を手渡した。
「大丈夫なんですか?」
「うん。あれは嫉妬。だから気にすること無いよ。ねぇ、ゴールド?」
「なっ、なんで俺に振るんスか!」
ケーキを食べていたゴールド君が慌てて反論する。
その時どうやら変な方向にケーキが入ったらしく、ゴホゴホとむせていた。
それを見ていたシルバーさんが馬鹿がと呟く。
「ああ!?てめぇー今なんて言った!」
「馬鹿に馬鹿と言って何が悪い」
「この根暗野郎・・・・。今日こそ決着つけてやる・・!」
いきなりシルバーさんに殴りかかるゴールド君。
シルバーさんはそれを平然と避け、ゴールド君に向かってけりを一発。
ドアのほうに吹っ飛んだんだけど、すぐにたちなりまた殴りかかる。
そうこうしている間に物凄い喧嘩が始まってしまった。
側で見ていたクリスタルさんが止めようとするけど、他の人は動きもしない。
なんなんだろう、この人たち・・・・・。
まさかこれが日常!?
「また始まったわね。さて、今日はどっちが勝つかしら」
「さあ、僕にはさっぱり。でも、意外でしたね。シルバー君もキスマークなんてつけるんですね」
「案外独占欲強いのよあの子は」
いつの間にかイエローさんとブルーさんで聞いてはいけないような話をしている。
シルバーさんがって、ええ!?ゴールド君の相手ってシルバーさんなんですか!?
助けを求めるようにハート君を見れば、何故かソウル君とケーキの食べさせあいっこしている。
一瞬だけこちらを見て、にっこりと頷き、また二人の世界?みたいなのに入っていく。
その近くではグリーンさんとレッドさんが、きっ、キス・・・、しているし、な、なんなんだろうこの状況!?
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
変な状況に置かれてしまった僕に出来ることは、こっそり心の中で恋人に助けを求める事だけでした。
(HELP!!カナデーーーー!!)
END
後書き
あおい様、リクエストありがとうございました!
いや〜、せっかくのリクエストなのに全然いかしきれてない件について。
真面目にすみません。
なんか、ゴールドとヒビキ君の出会いというより、みんなとの出会いになってしまいました。
謝罪させていただきます。
ヒビキ君は初挑戦だったのですが、こんな感じでいいんですかね?
若干、いや、かなりキャラが違うような気もしますが、スルーしてくれると嬉しいです。
あ、書き直し受け付けます!
めちゃくちゃおかしな文ですもんね。
要望があれば書き直しますとも!
・・・・そういえば、私やっとテストが終わりました。
そろそろためていた小説を書き出そうと思っているので、そちらのほうもよろしくお願いします。
では、本当にありがとうございました!
そして、すみません!