目が覚めたら、いつも通りの朝を迎えられるんだろーか。


『夢と現実』


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


朝起きて、最初に思い浮かんだのはアイツの顔だった。
今日は珍しく寝坊しちまったと時計を見る。
もともと朝は得意なほうじゃねーが、アイツよりは幾分マシだと思う。
大体いつも俺のほうが早く起きるわけだが、たまにはこんな日もあるわけで。
でもそういう日は決まってあいつが朝ごはんを作ってる。
それが少し、本当に少しだけ楽しみだったり。
ま、あくまで目的は朝ごはん。
それ以外は最悪なんだけどな。
何故って?
そりゃ嫌いな奴と向かい合って飯食べなきゃいけねーからだろ。
朝から嫌いな奴と向かい合ってご飯食べるとか、最悪だぜ。
あえて何もいってねーけど、これが昼だったらぜってーなにか言ってるんだろうな。


「ふぁ〜・・・・・。おはようさん」


パジャマ姿のままリビングに行けばキッチンからいい匂い。
今日はガーリックトーストでも焼いたのか?
日本人ならご飯だろ、とかいってたくせによ。
ほーんと身勝手な奴。
まあ、俺が言えた口じゃねーけど。
どっちかっていうとパンのほうが好きだし、問題はねーけどよ。
一度決めたことならやりとおせよなー。


「お前がパンがいいって言ったんだろ」

「あり?そうだっけ?」


エプロン姿のシルバーちゃんから反論されてしまう。
そういやーそんな事言った気も。
つーかさ、お前が俺の意見を聞き入れたって事のほうが驚きなんだけど。
なんの風の吹き回しだよ。
新手の嫌がらせか?
喧嘩売る気なら受けて立つぜ。


「馬鹿なこと言ってないで早く着替えろ」

「・・・・・・・はーい。分かってますよーだ」


大人しく言うことを聞くのも癪だったが、朝から無駄な喧嘩をしたくないので放置。
着ていたパジャマをその場で脱いで、制服に着替える。
するとまたシルバーから駄目だしされてしまう。
んだよ、部屋に行って着替えろってか?
いいだろ別に。
何処で着替えようと俺の勝手。
それに俺の着替えシーンが見れるとか、シルバーちゃん幸せ者だぜ?


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・ちょっ、マジでかわいそうな目で見るのやめてくれねぇ?なんか惨めになってきた」


朝のシルバーちゃんには冗談、つーか挑発は通用しない。
あっちも眠いらしいから、極度に俺との争いを避けてるんだろう。
でもよ、こうも完全無視だとちょっとむかつくよな?
いや、朝だから何もする気は起きねーんだけどよ、ちょっとな。
悪戯してやろうとか、思ったり思わなかったり。


「シルバーちゃん、あーん」


席についたシルバーに向かってフォークを差し出す。
フォークの先にはおいしそーなイチゴが。
え?普通デザートは後だろって?
んな常識どうでもいーんだよ。
甘いものが嫌いなシルバーに食べさせるっていったらこれぐらいしか思いつかなかったからな!
さて一体シルバーはどんな反応に出るか・・・・・。
すっげー楽しみ。


「・・・・・・・、甘い」

「・・・・・・なんだよ、普通に食べやがって」


俺の手を掴んで引っ張ったシルバーは、いとも簡単にイチゴを食べる。
あまりにも普通な反応なため、つまらなそーにフォークを回してみる。
するとだんだんイチゴを食べたシルバーの顔に変化が。
お?なんだ?
やっぱ甘いものはきつかったか?
はっ、そりゃいいや。
やったかいがあるっつーもんだ。


「・・・・・・・・・返す」

「え・・・・・・・・・・」


ぐいっと襟を引っ張られ、そのまま唇を重ねられる。
とろっと甘いものが口の中に入ってきて、くらっときた。
あめー。
このイチゴこんなに甘かったのかよ。
そういやー今が旬だったきがしねーでもねぇ。
ははっ。
イチゴってこんなに甘かったっけ?


「っ、・・・・・・何、シルバーちゃん、欲情しちゃった?」

「・・・・・・・・・甘い」

「無視かよこのやろー」


やっぱ朝のシルバーってつまんねぇわ。
先ほどの甘さをかき消すように水を含み、ガーリックトーストを口に入れる。
さくっと噛み付いたガーリックトーストからは香ばしい香りがして、食欲をそそる。
一口、二口とどんどん食が進み、すぐに完食する。
次は卵焼きなんかに手を出して、その塩っ辛さにすこし眉をひそめる。 つーか洋風に和風ってどんな組み合わせだよ。 まっ、購買で味噌汁とご飯食べた後にケーキを頼む俺には言われたくねーかもしんねーけどよ。
最近の日本は欧米化してきてんなー。
別に困る事はねーんだからいいんだけど。
最後に水を一気飲みして、ご馳走様と手を合わせた。
シルバーの野郎はまだのんびり食べているみたいだったんで、一足先に部屋に戻る。
えーと、確か今日は社会に理科に英語に・・・・・。
げっ、そういやー今日英語テストだったじゃねーか。
こりゃサボり決定だな。
丁度四時間目だし、購買にちょっこー。
あそこのケーキおいしいんだよな。
ちゃくちゃくと鞄の中に用意を詰め込み、部屋を出る。
すると食事を終えたらしいシルバーと鉢合わせした。
一瞬目が合ったが、すぐにそらし玄関へと向かう。
先に行くという必要もねーし、待つ必要もねー。
あいつもきっと止めはしないだろうし。
さっさと靴を履き替え外に出ようとした俺だが、ふとあることに気が付いた。
珍しくあの野郎がじっとこちらを見ている事に。
何見てんだよというべきか、見てんじゃねーよというべきか。
そこまで考えて俺の思考は停止する。
それは奴があることを言ったためだった。
その瞬間俺はこれが夢だと理解した。
だってこいつがこんな事いうはずねーもん。
でも、もしお前がそれを本気で言ってんなら、俺もこう返してやるよ。


「                」


言葉にしたはずの言葉は音にならず、そのままどこかへと消えてしまった。
そしてだんだんと周りの風景が歪んでいき、終いには真っ暗になる。
俺はどこか悟ったようにため息をつき、目を開いた。
するとそこにはいつもの天井。
無言で起き上がりぺたぺたとフローリングを歩いていく。
部屋から出れば夢と同じいい匂いがして、ああ、今日はガーリックトーストかとどこか遠いところでそう思った。
キッチンに立つあいつの姿を見て、ちょっとほっとした。
あぁ、夢でよかったと思う反面、実際はどうなんだろうと柄でもない事を考える。
俺は奴に無言で近づくと、音とならなかった言葉を言った。


「俺はてめーが俺の事を好きだといったら、てめーと同じ質問をそっくりそのままかえしてやるよ」


今度はちゃんと音になり、奴へと伝わった。
ゆっくりと振り向いた奴は訳がわからないという顔をしており、それが妙に愛しく見えた。
まっ、気のせいでしょーけど!




END



後書き
昔の作品を書き直したぜ。
本当は最後のゴールドの台詞は、「俺たちは友達だよな?」だったんだけど、変更。
今のサイト的に甘いほうがいいかなと。
さて、シルバーは夢の中でなんといったんでしょうね。
もちろん管理人の中では考えてありますが、適当にお好きな台詞を当てはめちゃってください。
もしかしたら告白してたかも・・・・・。
しかし書き直しというのは難しいな〜。
サイトを改装したし、せっかくだから全部見直そうかな。
ま、時間はかかりそうだけど・・・・・。
では、ありがとうございました!