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勝ってしまった。 また、勝ってしまった。 『忘れていたこと』 チャンピオンの仕事に休みを貰い、せっかくだからお母さんに会いに行こうとワカバタウンに向かう途中、一人のポケモントレーナーとあった。 そのトレーナーは驚くほど僕にそっくりで、思わず声をかけてしまったんだ。 そしたら彼は僕を見て、『目が合ったらバトルだろ?』と笑った。 ついその笑顔に断りにくくて、受けてしまった。 三対三のバトル。 彼は最初にピチューを出した。 そして僕はラフレシアを。 結果は彼のピチューの勝ちだった。 卵からかえったばかりとは思えないほど強く、相性なんて軽々と吹き飛ばしてしまった。 凄いね、と笑いかけ、次はヌオーをだした。 やっぱり相性っていうのは基本だよね。 さきほどのダメージもあってか、今度は僕があっさりと勝った。 彼はお疲れと一言ピチューに声をかけ、次にトゲピーをだした。 どうしてこうも卵ポケモンなんだろう・・・。 ふとそんなことを考えたが、頭を振って目の前のバトルに集中する。 彼のトゲピーもピチューと同じくらい強く、正直いってやばいと思った。 でも、ぎりの所で勝てた。 トゲピーをボールに戻した彼は、最後にバクフーンを出した。 相性が悪いのに・・・・・。 ふとそんなことが頭に浮かんだが、すぐに吹き飛ばされる。 何故なら彼は僕のヌオーを一撃で倒してしまったからだ。 いくらダメージを受けてたとはいえ、相性は最悪。 このバクフーン、強い。 ぎゅっと最後のボールを握り、僕も同じバクフーンをだす。 『噴火』と指令を出せば、相手も負けじと返してくる。 最後に最強技のぶつかり合いになって、爆風の中立っていたのは・・・・、僕のポケモンだった。 「あーーーー!!!!くっそ、負けちまったし!」 彼はそう叫ぶとすぐにポケモンをボールに戻した。 勿論感謝の言葉を忘れず、ありがとうとボールに呟き、僕のほうに近づいてくる。 「サンキューな!いい勝負だったぜ!・・・・・って、なんか嬉しくなさそうだな」 「そっ、そんなことないよ?」 思わずぎくっとしてしまう。 本当は嬉しくなんて無かったから。 チャンピオンになってから僕は、自分を見失っている。 毎日のようにくる挑戦者とバトルしては、必ずと言っていいほど僕が勝つ。 そのうちなんだか同じ作業をたんたんと繰り返している気がして、勝っても嬉しくなくなった。 僕がしたかったことって、勝ち続けることだったのかな? 僕が僕であるためには、最強であり続けなければならない? そうじゃなきゃ、僕は僕でなくなってしまう? 「・・・・・おいテメー、ちょっと付き合え」 「・・・・・え!?」 いきなり腕を引っ張られ、ワカバタウンとは反対方向に走り出す。 ちょっ、僕お母さんに会いにきたのに! なっ、なんでこんなことになってるの!? きゃー!誰か助けてー!! 「・・・・・よし、ついた」 「・・・なっ、何ここ」 「見てわからねぇ?海!」 いやそれは見たら分かるよ!? 僕が聞きたいのはそういうことじゃなくて、どうして此処にきたかってことだよ! 何この子、電波なの!? 「だっ、だからどうしてここに・・・・」 「広いだろ、海って。なんか、悩んでいる自分なってちっぽけに見えてくるぐらいにさ!」 「・・・・・・え」 そういわれて改めて海を見た。 ああ、本当だ、広い。 どこまでも続く海が、空との境をつくっている。 きっとこんな海からみたら、僕は物凄く小さく見えるんだろうな・・・・・・。 「・・・・・・どうして僕が悩んでるって分かったの?」 「あー?そりゃ嬉しくなさそうだから」 思わずきょとんとしてしまう。 え、何その理由。 嬉しくなさそうだから? それだけで君は見ず知らずの人を海につれてこようと思うの? 「だってよ、ポケモンともちゃんと心を通わせているみたいだし、それなのに勝っても嬉しくないなんておかしいじゃん。 俺だったらすっげー嬉しいけど」 そういって笑う彼が羨ましくて、思わず目を逸らした。 僕も昔は、強い相手に勝てば勝つほど嬉しかった。 成長してるって実感できたから。 でも今は? 今の僕は・・・・・・、勝ってあたりまえの試合をしている。 一体いつ、そうなってしまったんだろう。 「・・・・・・・勝つのが嫌になったんだ。勝って勝って勝ち続けたって、そこには何も無い。分かってしまったんだ。 みんなが敵わなくなればなるほど、僕は一人だって。・・・・・・・もう、バトルするのが辛いんだ・・・・」 「・・・・・・・・・・・・・・なんで?」 「・・・・・なんでって・・・・・・・、聞いてなかったの!?」 驚いてそう聞けば、ちゃんと聞いてたっつーのと不機嫌そうに言った。 そっ、そっか、聞いていてはくれてたんだ。 なのになんでって・・・・・・・・。 「だってさ、勝つのがいやなんておかしいじゃねーか。じゃあ負けるのが好きなのか?」 「そっ、そんなわけないじゃん!」 「だったらおかしいだろ」 思わず黙ってしまう。 言われてみれば、勝つのが嬉しくないということは、負けるのが嬉しいということだ。 そんなことは決してない。 だって、僕がここまでこれたのはポケモンたちのおかげで、ポケモンたちの頑張りがあったからなんだ。 それなのに負けるのが嬉しいなど・・・・、トレーナー失格じゃないか! 「負けるのは嬉しくないよ!でも、勝つのも嬉しくないんだ!!」 そういえば彼は黙ってしまった。 しばらく目線を下に向けていたが、急に上に上げ、僕の瞳を捕らえる。br> その金色の瞳は、なんだかひどく怒っているように見えた。 「お前さ、何を見てるんだよ」 「・・・・・・・・・・・・・・・え?」 「勝つ自分の姿か?負けて悔しがる相手の姿か?それとも、強いと勘違いしている自分の姿か!! お前は一体何を見てんだよ!何を思ってトレーナーをやってるんだ! 金のためか?名誉のためか?それとも、弱い相手を傷つけたいだけなのか!! お前さ、強いって意味分かってんのか? 強いっていうのは、たんに力の強さを言うんじゃねーんだよ。その人の心の強さのことを言うんだ! 今のお前に勝って嬉しいだの負けて悔しいだの言う資格は無いね!みなきゃいけねーものをみていないからな! てめーの側には、いつもポケモンが居るんだろ!? なのに勝つとか負けるとか・・・・・・、んなの、二の次だろっ!! ポケモンと一緒に努力してきた過程があるからこそ勝つと嬉しいんだ!負けると悔しいんだ! 負けてもまた努力して、さらに上を目指そうと思えるんだ! 勝負っつーのはどれだけポケモンを信頼しているかで勝敗が決まるんだ! 勝って嬉しくないなんて・・・・・・・、お前がポケモンを信頼していない証拠じゃねーか!!!」 「・・・・・っ!そんなこと、どうして初めて会った君に言われなくちゃならないの!僕はポケモンを充分信頼しているよ!」 「じゃあポケモンの気持ちにも気づいてやれないほど間抜けなトレーナーなんだな!!」 「・・・・・・・・え」 そういわれてちらっと隣に居るバクフーンを見た。 なんだか悲しそうな顔をしている。 そして同時に、心配そうな顔をしてこちらをみている。 僕が元気がなかったから心配してくれているの? ううん、違う。 これは・・・・・・・・・・・・・・。 「もしかして、僕が勝っても嬉しくないと言ったから・・・・・?」 そうだと彼は瞳に強い怒りを宿し頷いた。 ああ、そうだったんだ。 僕が悩んでいるように、バクフーンたちもずっと悩んでいたんだ。 勝ちを僕が望んでいないのに、本当に勝ってしまっていいのかと。 よけい苦しめるだけなんじゃないかと。 「てめーはトレーナー失格だ。強いとか弱いとか以前に、大事なことが分かっちゃいねぇ。 ポケモンが居るから、楽しいんだろ?ポケモンが居るから、嬉しいんだろ? なのにそれを見失うようじゃ・・・・・・、お前にポケモンを持つ資格なんてないね。 もう一度初心にかえってみるべきだ」 「・・・・・うん、ごめん。ごめんね。僕、本当に大事なことが分かっていなかったよ・・・・・・」 そうだよ。 僕がポケモントレーナーになったのは、ポケモンが大好きだからじゃないか。 バトルで勝つとか、負けるとか、そんなの問題じゃなかったんだ。 そりゃ勝てば嬉しいし、負ければ悔しいし。 でもそれは一緒に頑張ってきた仲間がいるから。 そこで初めて負けて悔しい、勝って嬉しいと思えるんだ。 なのに僕は・・・・・・・・・・・・・・・・。 「・・・・・・・・・・・ありがと。なんか、ふっきれた」 「・・・・・そーか。そりゃ良かったな」 バクフーンにもありがとうと言って、もう迷わないといった。 大丈夫、僕もう迷わないから。 そんなに心配そうな顔しないで? ほら、その証拠に・・・・・・・。 「さっきは僕の勝ちだったよね?とういうことで、はい、賞金頂戴?」 「・・・・・・結構ちゃっかりしてるじゃねーか」 そういって溜息をつく彼。 でも、どこか楽しそうだった。 ふふ、僕もなんだか幸せな気分。 だって、久しぶりにバトルして勝ったんだもん。 やっぱり嬉しいよね? 本当はお金なんて要らないんだけど、ほら、バクフーンたちの頑張り金って事で。 きずぐすりとか買ってあげたいしね。 「あーあ、なんか勝ったのに負けた気分だよ」 「なんだよそれ、俺に対する嫌味か?」 「ううん、違うよ。・・・・・・そういえば、名前なんていうの?」 「俺か?俺は・・・・・・・・」 『ゴールド』 そういった彼の声を聞いて、僕はいい友達が増えたとこっそり笑った。 END 後書き やっと書き終えたー! いや〜、最初から最後までくだくだくだくだが続いて、読むのが大変だったと思います。 ゴールドがヒビキに負けるといわれて、うわ〜、かけるかな〜と正直思いました。 おかげでこんなのに・・・・・・。 えっと、書き直し受け付けますので!苦情も! 後は今回は二つともあまり良い出来にすることが出来ませんでした・・・。 かわり、と言ってはなんですが、管理人の駄目絵を・・・・・・。 お詫びと自分への反省を込めて・・・・・・。 では、ありがとうございました! あ、ちなみにこれは余談なのですが、管理人は脳細胞を破壊するほど絵が下手です。 今回載せたのは特別です!本当に! なので普段は絶対に絵を描きません! そこらへんをご了承の上、絵をご観覧ください・・・・・。 それでは、下に・・・・・。
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