ふとした瞬間気づくことがある。
それはけして俺が気づきたくて気づいているんではない。
何気なく目に入って、耳に聞こえてきてしまうのだ。
だから俺はため息をつく。
きっと他の誰よりも俺は周りの状況を知っているんだろう。
でも言わない。教えない。
だってめんどくさいだろう?



『知らないふり』



「でさー、そこでレッド先輩が・・・」


ああ、まただ。またその愛しそうなめ。
貴方は一体俺を見て何を思っているんですか?何を感じているんですか?
俺には全くわかりません。
大体のけんとうはつくけれど、それが本当か分からない。
貴方は一体何を見ていますか?


「ってわけなんだよ。・・・・・おい、聞いてるか?」

「いえ全然」


そういえばぷく〜と頬を膨らませるゴールド先輩。
前にもこんなことあったな、とおもいつつ、自分の前ではとことん子供っぽくなる人だ、何故だろうと考えてみる。
最近はゴールド先輩とお茶をするのが日課になってきている。
というのも、俺がお茶をのんでいるとその向かいにゴールド先輩が勝手に座るからだ。
そしてそのままつまらない話を俺に聞かせてくれる。
そんな事言うとめんどくさいことになりそうだから言わないけど、心の奥では言ってみたいと思っている自分がいる。
なんて矛盾した考え。
ふっと軽く笑ってみせ、空を見上げる。
今日も晴天なことで。
そんなに晴ればっかだと太陽さんが疲れてしまいますよ。たまには闇にしてみませんか?
俺は月夜というのも好きなんです。唯一太陽が沈む時間だから。
その時間だけは闇が勝つんです。
なんか凄くありませんか?普段は絶対的な力を持っている太陽に勝てるなんて。
そう思うとなんでもできる気がしちゃいますよね?


「なんだよ〜・・・・、無視しやがって!ソウルだったら聞いてくれると思ったのによ!」

「勝手に期待するのはやめてください。それに、貴方にはいい相談相手がいるじゃないですか」


相談相手?
声にしなくても分かるぐらいに彼は不思議そうな顔をした。本当になんで気がつかないんでしょうね。
俺は不思議でたまりませんよ。
いつだってその瞳の奥で意識しているくせに。
絶対口には出さないんですからね。
いつまでも意地張ってると、誰かにとられちゃうかもしれませんよ?―――なんて、それこそありえない話だけど。
ゴールド先輩を見つめる彼の瞳を思い出し、ため息をつきたくなった。
他から見れば一目瞭然。
だけど本人たちは気がつかないんだから恋って不思議。
お互い意識してるのばればれ。
逆になんでそこまで意地を張るのか俺にはわかりません。
好きな人とむすばれるんですよ?
最高に幸せなことじゃないですか。


「・・・・・・ソウル、頭打ったかお前」

「貴方に言われたくない・・・・・っと、これは言わないほうがいいですね」

「もう半分言ってるっつうの」


それもそうだ。
ここまで言われて分からない人はいないだろう。
いっそのこと思ってること全て言ったほうが楽かも。
でもやっぱりめんどくさい。
他人の不幸は蜜の味って言うけど、なら幸せはどうなんだろう?
案外辛かったりして。それとも苦いかな?


「・・・・・百面相だな〜」

「貴方ほど表情は変わりませんよ、俺は」


ほら、言ってるそばから、さっそく表情が変わってる。
さっきの愛おしそうなめは何処にいっちゃったんですかね。
ひどく憎しみがこもった目。
だけど悲しむ目にも見える。
そして、これが一番大事。
今のゴールドさんはまるで恋する乙女みたいな顔をしている。
分かりますよ。俺の後ろにあの人がいるんでしょう?
さっきからくだらない話してたのも、時々俺を申し訳なさそうな目で見たのも、全て彼のせいなんでしょう?
またどうせ喧嘩したんでしょ。聞かなくても分かります。あなた方を見ていれば。
おそらく原因はゴールドさんの嫉妬、といったところか。
だけど恐ろしいことに本人は気づいていないから困る。
あの人は割りと気づいているみたいだけど・・・・・、なにもしないんだから困ってしまう。
そんなに簡単じゃありませんか?一人の人を愛するのは。
俺にとっては物凄く簡単なことなんですけど。
あなた方にはまだ難問みたいですね。
けど、いつかそんな事もあったなと笑い飛ばせる日がきっと来ます。
だから絶対に諦めないで下さいね。


「その馬鹿を引き取りに来た。迷惑かけて悪かったな」

「いえ、別に。いつものことなので」

「おいっ!馬鹿ってなんだよ馬鹿って!だいたいお前が・・・」


俺のことなんてほったらかしで喧嘩し始める。
あれも一種の二人の世界ってやつ?
妬けますね〜・・・。
でも、俺にはハートがいるんで、全然羨ましくなんてないです。


「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


いまだ喧嘩している二人を見てそっとため息をついた。
ほんとなんで気づかないんだろ。
周りから見れば十分なのに、あなた方はそれを否定する。
十分じゃないですか、そんなに愛してもらえば。
十分じゃないですか、そんなに愛されれば。
俺はめんどくさがりやなので何も言いませんけど、あんたら周りからみたら十分バカップルですよ。
少しは場をわきまえてくれませんかねぇ。
ま、めんどくさいから一生教えてなんかやらないけど。
それにちょっと悔しいし。
言葉もないのに気持ちが通じるなんて。


「・・・・・・・・・・・・・・今日のお会計、ゴールドさんもちでよろしくお願いしますね」


俺はそういってこっそりその場を立ち去った。
だってめんどくさいじゃないか。
あの二人の喧嘩に巻き込まれるなんて。
それに・・・・・・・・・・・。
いつまでもバカップルを見ている気は無いんです。
だから俺は知らないふりをします。
見てないふりをします。
どうぞ勝手にやってください。
お幸せに!




END





後書き
なんか当初の予定とぜんぜん違うものが出来てしまった・・・。
そして台詞が少ないような気が・・・・・・。
いや、気のせいだ。きっと。そしてよくあるこt・・・・・。
・・・・・・・こほん。
まあバカップルが発生してたしよしとしよう。
あの二人はつまりお互いしか見えてないって事ですよ。
だから周りの目に気づかない的な?
そしてお互いの気持ちにも気づかない的な?
・・・・・・ややっこしい!←書いたのお前だろう