『オレは俺、お前はお前』
「はあー、どうすっかな・・・」
ある日の昼下がり、かっこいいゴールド様は、とてもとても悩んでいた。
え?自分でかっこいいって言うなよって?
別にいいだろ、俺が俺をなんと言おうと俺の勝手だ!
つーかそんなことはどうでもいいんだよ!
俺は今悩んでるんだ!
「ほんとどうすっかなー」
腕を組みながら先ほどの出来事を思い出す。
いや、確かに十分嬉しくはあったんだけどよ、体育館裏に呼び出されたところでそうじゃないかなとは思ってたんだけどよ。
まさかあんなかわいい子がねー!
俺に告白なんか・・・・、って、いやいや、そこは当たり前だろ?
俺ってほら、かっこいいしさ
「でもなー」
告白してきた女の子は、2組のユリコちゃんって子だ。
くりんとした目で、ふわっふわな髪。
控えめな口調に、少し染まった頬・・・。
いやあれはどこをとってもかわいいとしかいいようがないな!
女好きな俺にとってはもうたまんねーぜ!
でも・・・・・・・
「付き合う・・・・か」
自分とユリコちゃんが手をつないでデートしているとこを想像してみる。
うん、普通に似合うな。
もしろそれが当たり前のようだ。
デートして、夜景見て、甘いキスをして、それから・・・・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
とにかくもういろんなことをするんだろう。
自分と二人で。
でも、さ。
「アイツはどうするんだ?」
無口でとっつきにくくって。
無表情で、笑ったとこなんて見たことなくて。
いつも憎まれ口叩いてて・・・・・・
でも、時々優しくて・・・
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
なんとなくずっと喧嘩しているものだと思ってた。
変わることなんて何も無いと思ってた。
だけど、ひょっとしたら違うのかもしれない
いつか俺たちは変わってしまうのかもしれない
いつか隣に居ることが当たり前ではなくなっているのかもしれない
そう思うと寂しくて、なんだか涙が出そうになった
「・・・・・・・って、何言ってんだよ!この俺が寂しいだなんて・・・・」
ガサッ!
大声を上げた瞬間、後ろで物音がする。
だ、誰だ?
今はおもっくそ授業中だというのに。
こんなところでサボりですかコノヤロー!
そう思い後ろを見ると、そこには俺が不思議そうにこちらを見ていた。
はあ?
いやいや待て待て。
俺はここにいるぞ?
確かに今この状態を不思議だとは思うけどよ・・。
つーか俺そんなに間抜けな顔をしてるのか?
つーか何これ?
鏡?
「・・・・・・・・・誰だ。あんた」
俺が色々考えていると、鏡が口をきく。
ああ!?鏡が口を!?
ありえねぇ!
てかなんか口わるくね!?
お前一年だろ!
ネクタイの色からするに。
俺は二年だぞ!
もう少しマシな口の利き方は無いのか!
「てめっ!もう少し口のききかたってものを・・・「ああ、そっか。貴方がゴールド先輩か」・・・はあ?」
何か悪態でもついてやろうと思えば、言葉を遮られる。
あんだって?
ゴールド先輩?
なんで俺の名前知ってんだよ。
俺はてめーなんかしらねーぞ、いやあるいみよく知ってはいるんだけど
「あ、申し送れました。俺はハートと言います。以後お見知りおきを」
「ハート・・・だって?・・・・・・あ!」
思い出した!
こいついつかソウルが言ってた・・・・あのハートか!
「・・・・・・ゴールド先輩、じゃ、なかったんですか?」
「え、いやいやいや、確かに俺がゴールドだよ」
「よかった」
いきなり黙った俺を見て、人違いだった思ったらしい。
ハートは首を傾げて聞く。
いやいやすみませんねー。
ちょっとばかし記憶を探っていたもので
てかよ、お前があのハートなのか?
ソウルが言ってた。
なんか、ほんと俺にそっくりなんだな。
びっくりだぜ。
「ゴールド先輩はこんなとこで何をしているんですか?サボりですか?それとも、探し物?」
「いや、まあ、サボりみてーなもんだ」
聞いてくるハートを適当に流す。
さすがに後輩に相談するわけにはいかねーしな。しかも初対面
つーかこいつ随分図々しいんだな。
初めて会った相手にいきなりそんなこと聞くとは・・・。
深刻な問題だったらどうするんだ。
例えばいじめとかさ。
「大丈夫ですよ、そのときはそのときでなんとかしますから」
「・・・・は?」
目の前にはにっこりと笑う俺・・・。もといハート。
今、こいつなんつった?
「だからそのときはそのときで何とかしますって!聞いてなかったんですか?」
「・・・・え!?あ、なん、で」
「心が分かったか、ですか?」
言葉を先取りされる。
俺はそのせいで何も言うことが出来ず、ただただまじまじと見つめるだけだ。
「簡単なことですよ。貴方みたいに単純な人は、感情が読みやすいんです」
「んだと!?」
「ほら、怒った」
くすくすと楽しそうに笑う。
くそ・・・・一体なんなんだ?
こいつ。
なんで俺の心が読めるんだよ
「物分りの悪い人ですねー。シルバー先輩の言うとおりだ」
「シル、バー?・・・お前!シルバー知ってんのか!?」
「ええ」
相手につめより胸倉を掴む。
するとハートは苦しそうに答えた。
あ・・・・と、いけないいけない!
ついいつものくせが出ちまったぜ
「よくお話は伺ってますよ。この前大喧嘩したそうですね」
う・・・、ブレスレット事件のことか・・・。
「それで、仲直りはしたんですか?」
「ま、まあ」
「ふーん、良かったじゃないですか」
興味なさそうにハートがつぶやく。
んだよ。
そんな感情こもって無い声で言われたって嬉しくねーっつうの!
つーか、シルバーと仲直りしたことがどうして喜ばしいことなんだよ!
「それで、今回はどのような件でお困りなんですか?俺はそっちのほうが興味あるんですけど
「なんでお前なんかに言わなきゃいけないわけ?」
「いいじゃないですか、たまには。それに、自慢にもなるでしょう?」
こいつ・・・・、俺が告白されたこと知ってんのか!?
「話してくださいよー。ぜひ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「はー、それで、OKするかどうか悩んでいるわけですかー」
「まあな」
あれから何故か二人校舎によりかかって、告白のはなしなんかしちまってる
なんだ?
俺って結構お人よしなのか?
だから今こんなことになってんのか?
「なるほど・・・・・」
ハートはそういうと、少し考えるそぶりを見せる。
「・・・・・つまり、今の貴方には好きな人が居るってことですね」
「はあ!?なんでそうなるんだよ!!」
思わずずっこけそうになる。
一体今の話の何処をどう聞けばそうなるんだ!?
「だって、そうでしょう?好きな人が居ないんだったら、その告白してきたひとも好きな人じゃないってことですし」
「う・・・」
「それだったらすぐ断ればいいじゃないですか」
「そ、それは相手に悪いだろ!」
「確かに、そういうときもあるけど、それだったらこんなに悩む必要は無い。貴方がこんなに悩んでいるのは・・・」
「・・・・な、なんだよ」
「好きな人が居るけど、それを認めたくないから。だから真剣に悩むふりして、それを否定したいんです」
「っ!!!」
かっと顔が熱くなる。
図星をさされた?
違う!そんなことは無い!
俺がアイツをすきなんて・・・・そんなことあるはずが無い!
「俺は、アイツなんて大っ嫌いだ!!」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
そういうとハートは黙る。
そして少ししたあと、ため息をつき、ほこりを振り払いながら立ち上がった。
「まあいいですけどね。取られても、知りませんから。シルバー先輩、ラブレターもらったみたいですよ」
「はあ!?」
「それじゃ、また、ゴールド先輩」
「あ、おい!ちょっと待てよ!」
そのままスタスタと歩いていくハート。
「なんだよラブレターって!」
「また機会があったら、ゆっくり話しましょう」
「なっ・・・」
後ろ向きに手を振りながら、ハートは校舎の中へときえていった。
と同時に、授業終了のチャイムがなる。
「っ、なんだよ・・・・俺にどうしろっていうんだよ・・」
告白について考えていた本当の理由だとか。
それをいわれて真っ赤になっている俺だとか。
あいつのことを考えてどうしようもなく不安になっている心だとか。
もう全てがどうでもいい。
「ああ、もうどうにでもなれってんだ!」
体を地面に預け、全てを放り出す
なるようになれってな!
END