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それはなんら変わりないいつもの日常だった。 僕がそれに気づいたのは、偶然でも必然でもない。 ただそこだけ、あきらかに他とは違う異質なオーラを放っていたのだ。 あ、変な意味とかじゃなくて、そこだけいように男子が群がっていただけなんだけどね。 『日常は泡となって消えた』 いつもどおりの休み時間、僕はカナデとコトネちゃんと廊下を歩いていた。 するとやけに騒がしい声。 みればそこには大量の男子生徒が集まっているではないか。 なんだろうと興味本位で近づけば、人の波に飲まれる。 あっちへこっちへ引っ張られ、しまいには前へと押し出された。 押し出されたひょうしに転んでしまい、恥ずかしさから顔が赤くなる。 「・・・・・・くす、大丈夫?」 声とともに差し出された手。 声がしたほうを見上げれば、黒髪美人の女の子が居た。 長いストレートの髪はやまとなでしこを思わせ、キラキラ輝く金の目だけがやけに浮いて見える。 思わず見とれてしまえば、女の子はまたくすっと笑い、僕の手をつかんだ。 引っ張って立ち上がらされ、そこでやっと意識が戻る。 「ごっ、ごめんなさい!」 「いいよ、別に」 しどろもどろに謝れば、またあの綺麗な笑顔が向けられる。 純粋に綺麗だと思う反面、何かが引っかかる。 あれ?なんかこの笑い方、前にも見た事あるような・・・・・・。 う〜んと頭を捻るが、何も思い出せない。 気のせいだったかなと思った瞬間、握りっぱなしにされていた手がいきなり引っ張られた。 「えっ!?」 いきなりの事で抵抗する暇もなく、女の子はどんどん人ごみから離れていく。 後ろを見れば驚いたコトネちゃんとカナデが追ってきていたが、追いつきそうにも無い。 この子凄く足が速い。 おまけに力も強くて、僕の力ではとてもじゃないけど手をはずせなさそう。 仕方ないから大人しく後ろをついていけば、人気が無い校舎裏につれてこられた。 もうすぐ授業が始まるのにと思いつつも、どこかわくわくしている自分が居る。 この子誰なんだろうと、僕の好奇心がうずいた。 「よしっと。・・・・・あり?カナデとコトネは?・・・・・・ん、まいっか」 足を止めた女の子は、僕の手を離すときょろきょろとあたりを見渡す。 どうやら人が居ないのを確認しているようだった。 人がいないのを確認し終わると、僕のほうを振り向き、にこっと笑った。 そして楽しそうにしゃべりかけてくる。 ・・・・・・あれ? もしかしてこの子・・・・・・・。 「ねぇ、もしかして君・・・・「「ヒビキ(君)!!」」 いきなり後ろに体が傾き、その続きを言う事は出来なかった。 僕を庇うように抱きかかえるカナデと、僕たちの前に立ちはばかるコトネちゃんが居る。 二人とも汗だくで、よっぽど必死に追いかけに来た事が良くわかった。 にらみつける二人を見て、女の子は怪しく笑った。 それを見て僕は確信する。 あ、やっぱりこの子・・・・・・。 「やっだな〜、そんなに睨まないでよ。とって食おうって訳じゃないんだし。・・・・・・それとも、とって食って欲しい?」 その声を聞いたとたん、カナデにも分かったらしい。 みるみるうちに顔が青ざめていく。 コトネちゃんまだ分からないらしく、いきなり変わった口調に首を傾げるばかりだ。 僕はにっこりと笑うと、彼女、いや彼の名前を呼んだ。 「ハート君!」 「ご名答!・・・・・・・で、なんで隠れているのかな〜?カナデ君?そんなに俺が怖い?」 「いっ、いや、別に」 いつの間にかカナデが僕の後ろに隠れている。 どうやらハート君には何かとトラウマがあるらしい。 それもそうかもしれない。 会うたびに何かとひどい事をされているし、それにこの間は珍しくカナデだけ呼び出されていた。 いったい何をしていたのだろうか。 それ以前にハート君はどうして此処に? わざわざ女装までして。 「ハート君、今日は何しに来たの?」 「ん〜、それは言えないな。まあしいて言うなら、下調べみたいなもんだよ」 下調べ? そう聞き返せば、そうと怪しげな笑みでうなずかれる。 下調べかぁ〜・・・・・・・。 また何か良からぬ事考えてるな。 誰かに迷惑がかからなければいいんだけど。 無理な話かもしれない。 「ちなみにどうして女装なの?」 「ああ、これな。だって、女のほうが騙すときは便利だろ?だからカナデに貸してもらったんだ」 「・・・・・・え?カナデに?え、コトネちゃんじゃなくて?」 「そうカナデに」 にっこりと笑って、否定する様子は無いハート君。 ちらっとカナデを見れば、明後日の方向を向いている。 コトネちゃんはコトネちゃんで苦笑いしているし・・・・・。 どーしてカナデはそんなもの持ってたのかなぁ? もしかして僕だけ知らないとか? う〜、気になるよぉ! 「これな、もともとはヒビキに着て貰うため・・・・」 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」 ハート君が何か言いかけたところで、カナデが大声で叫んだ。 おかげで何を言いかけたのか分からなかった。 なんか僕がどうとか言っていたけど、もしかしてもとは僕のだったとか!? 僕いつの間に女子の制服なんて買ったんだろう。 覚えないけどな〜・・・・・。 「もっ、もういいだろ!それよりお前、やる事あるんじゃなかったのか!?」 「まあな。でも半分ほどすんだし。後はのんびりやるぜ」 カナデの言葉に、ハート君は曖昧に笑うだけ。 もう興味はなくなったのか、カナデから僕に目を移すと、俺も授業受けてっていい?と、なんとも無理な事を言ってくる。 授業か〜・・・・・。 そういうことは生徒会長に聞かないと。 この時間なら生徒会室に居るよね? 「うん、じゃあ、生徒会室に行ってみる?」 「生徒会室・・・?・・・・・ん、いいぜ。行ってみようじゃん」 しばらく考えた後、ハート君は自分に言い聞かせるようにそういった。 私たちもといったカナデとコトネちゃんも連れて行き、四人で生徒会室に向かう。 生徒会室は一番上の階にあって、その階以外に部屋は無い。 生徒会長が極度の人嫌いのため。 でもみんなからの信頼は厚く、僕もこっそりあこがれている。 本当は僕も生徒会に誘われていたんだけど、カナデと会える時間が減るから断っちゃった。 カナデったら泣きそうな顔して頼むんだもん。 最初からそんなつもりなかったのに。 「ふふ」 思わず思い出し笑いをしてしまい、カナデにどうしたと聞かれる。 なんでもないといって、生徒会室へと通じる階段を上った。 生徒会室は此処からしかいけない。 上りきったところに一つの部屋がある。 そこが生徒会室だ。 「失礼します」 控えめにノックして、生徒会室のとびらをあける。 するとそこにはだるそうにソファーに座る生徒会長、赤さんがいた。 そのとなりには何やら仕事をしている副生徒会長、緑さんが。 大量のプリントが机に置かれているところをみると、また会長が仕事をサボったのだろうか。 もくもくとペンを動かす姿が、ぴりぴりとした雰囲気を物語っているようだった。 ちょっとタイミングが悪かったかなとおもいつつ、僕は二人に近づき事のいきさつを説明する。 しかし特に反応も無く、ペンが動く音だけが聞こえていた。 相変わらず緑さんはプリントに集中しているし、赤さんにいたってはどこと無く眠そう。 さすがにどうするべきか困ってしまい、ちらっとハート君を見れば、笑っていた。 おかしそうに、でもどこか楽しそうに。 その笑みをみて何だか僕は背筋に寒気が走り、二人から一歩はなれた。 それと同時にハート君が一歩前に出る。 彼のなんとも言えない雰囲気に気づいたのか、それとも興味をもったのか、さっきまで何の関心も示さなかった緑さんと赤さんがこちらを向く。 しばらくの間無言のにらみ合いをしており、僕はどきどき。 赤さんは満足したのか珍しく口元を緩めると、一言、本当に一言だけ言う。 「どうぞ」 それを聞いたとたんハート君は忽然と姿を消し、ドアが閉まった音だけがやけに大きく聞こえた。 行動が早いと思う反面、彼らしくもある。 どことなくぼ〜としている二人にすみませんと頭を下げた。 すると緑さんがどこか関心したように言う。 「いや〜、赤と電波で会話できるなんて、お前の友達すげぇーな」 「えぇ!?」 あれって会話してたの!? まさかの事実。 あれって会話してたんだ〜・・・・・。 僕には全く分からなかったな。 いったい何の話をしていたんだろう。 でも人見知りの赤さんが声を出すぐらいだ。 きっと僕には想像もできないようなことを、しゃべっていたんだろうな。 やっぱりハート君ってすごいや。 「じゃあ、行こうか〜、カナデ、コトネちゃん」 改めてハート君の凄さに感心しつつ、二人に挟まれるようにして生徒会室を出る。 もと来た道を戻って、自分たちの教室に向かった。 しかしその途中でトラブル発生。 廊下を歩いていたらまた妙に騒がしい部分を発見した。 そこには当たり前のようにハート君がいて、二人の男子生徒と何かをしゃべっている。 あれはたしか・・・。 「ファイア君!リーフ君!」 僕がそう声を出せば、二人はこちらを向く。 こちらを向いたファイア君はふきげんそうで、リーフ君は苦笑いだ。 ちなみにこれは余談なんだけど、ファイア君は赤さんの弟なんだ。 そしてリーフ君は副会長の弟。 それにしても何があったんだろう・・・・・。 「ヒビキ!この女が俺の事馬鹿にするんだ!」 「・・・・・・えと、ハート君が?」 ファイア君が不満そうにそういってきて、僕はハート君のほうをみる。 ハート君はにこっと微笑むだけだった。 するとファイア君のほうから驚きの声。 どうしたのと聞けば、僕とハート君の顔を見比べて、こんなことを言う。 「え・・・・・、こいつ男!?」 その言葉に納得。 そっか〜、いまハート君女装中だからな。 そりゃびっくりするよね。 どうみたって美少女だもん。 でも、正真正銘男です! 「ああ、正真正銘、男・・・・・だぜ?」 ハート君はわざとらしく、ファイア君の耳元で低く呟く。 その瞬間、ファイア君が石になったのが分かった。 驚きと戸惑いでどうしたらいいのか分からなくなったんだろう。 若干目が泳いでいる。 そんな状況にした張本人、ハート君は、ケラケラと笑っていた。 「だめだな〜、ファイア君は。赤さんは一発で見破ったのに」 赤さん、という言葉にファイア君が反応する。 さっきまで泳いでいた目に怒りが浮かびあがり、勢いよくハート君へ掴みかかる。 その瞬間思い出したこと。 そういえばファイア君は、やけに赤さんを敵視していたんだった! 「赤が何だって!?」 ハート君は至近距離で睨まれても、全くおびえた様子を見せない。 それどころか、逆にファイア君の胸倉を掴み返すと、実に綺麗に笑った。 やばい、止めなきゃ。 そう思ったときには遅く、さらにファイア君を怒らすような事をさらり、一言いった。 赤さんのほうが優れていると。 「〜〜〜〜っ!!お前っ!!」 ファイア君はハート君に殴りかかろうとする。 もちろんそれが成功するはずが無く、吹っ飛んだのは彼のほう。 あの距離でカウンターを決めるハート君はさすが、だと思う。 床に倒れこんだファイア君をおかしそうに笑うと、ハート君は言った。 「俺にもかなわないようじゃ、到底赤にはかなわねーな」 それを聞いてふるえるファイア君の肩。 泣いているのかなと想い、近寄ろうとすれば、リーフ君が庇うようにそばにたった。 ハート君をにらみつけると、優しくファイア君の背中を叩く。 「ファイア、大丈夫だって!お前もすげーよ!」 「リーフ・・・・・」 「それに、俺はお前のほうが・・・・」 どこか恥ずかしそうにそういうリーフ君。 ま、まさかこれって、告白!?え、この状況で!? ちらっとカナデたちを見れば、複雑そうに笑っている。 僕も見守るようにファイア君を見れば、彼はゆっくりと顔を上げた。 そして・・・・。 「お前に好かれたってうれしくもなにもないっつーの」 見事にフラグを叩きおりました。 とたん大笑いするハート君。 今度はリーフ君が石になり、ダメージを受ける番。 僕は慰めようかと迷っていたが、その前にファイア君が赤君を倒すために走り去ってしまい、どうすることもできない。 「いや〜、今日もおもしろかったな〜!」 ハート君のその言葉に、僕はため息をつくばかりだった。 あぁ、今日もある意味平和です・・・・・。 END あとがき まず最初に、 大変遅くなって申し訳ございません!! 後で自分で自分を叱っておくんで! このっ!私の馬鹿! ・・・・・はい、リクエストを受けてから、かなり遅い更新となりましたが、一応リーフ×ファイアです・・・。 どちらかといえばプラス傾向ですが・・・・・・。 もう一つのリクエストに、この話は繋がっています。 もう一つも実は言うともうできてます。 ただ、打ち出していないだけで・・・・、パソコンに。 受験生のため、多忙です。 なのでなかなか更新できませんが、気長にお待ちください! では!リクエスト、ありがとうございました!心から! |