ピーーーー!!!
試合終了のホイッスルが辺りに響き渡る。
『ありがとうございました!』と体育教師に挨拶をし、持っていたボールを器具庫に戻しにいく。
ガラッと扉をあければそこには俺のもっとも嫌いなやつがいて、そういえば体育係だったとちっと舌打ちした。
奴も俺に気づいたらしく、不機嫌そうに早く戻せよと言った。
中に入り扉を閉め、ボールを投げ入れる。
その間ゴールドはなにやら重そうな箱を棚の一番上にいれようとしており、背が足りない分背伸びをして、必死に上に手を伸ばしていた。
バランスが悪く、今にも倒れそうだと思った瞬間、案の定バランスを崩し、後ろへと倒れる。
しかもどうやら手を箱にかけていたままだったらしく、そのまま棚ごとひっくり返す。
勿論後ろにいた俺が無事なはず無く、一緒に地面に打ち付けられるのだった。


「ぎゃっ!?」

「っ・・・・・!」


どしんと色々なものが上に落ちてきて、かなり重い。
ゴールドは頭を押さえながら起き上がると、俺を見て顔を青くさせた。
どうやら俺が無表情なことに気づいたらしい。
さすがにこれはまずいとおもったのか、慌てて上から物どかし、心配そうにこちらを見てくる。
身体が軽くなったので起き上がり、心配そうにしている奴の顔に一発パンチをお見舞いしてやった。
すぐに反撃しようとしていたが、もう一方の手で動きを制し、何も言わずに立ち上がった。
どうやら奴にも礼儀というものがあったらしい。
さすがに今回のことは悪いとおもっているようだ。


「・・・いってぇー・・・・。くそっ、不運だぜ」

「普通ならこうなることを予測するだろう」


そういえば少し頭にきたようで、なんだと!?と掴みかかってくる。
その手を無言で振り払い、睨みつけてやる。
ぐ、と押し黙り、ゴールドは下を向いてしまった。
そして無言で片づけをし始めた。


「・・・・・・やり返さないのか」

「うるせーよ。俺はお前と違って、一応常識ある人間なの!」


謝るつもりなど無いらしいが、先ほどのことで俺が腕を痛めたのを分かったのだろう。
どこか罰の悪そうな顔をしていた。
気のせいか言葉もいつもほど強みがない。
なんだか調子が狂ってしまって、隣で片づけを続けるゴールドの髪をむちゃくちゃにしてやった。
奴は驚いたみたいだったが、ひどく心配した様子でこちらを覗いており、反論するきはないと分かる。
俺は溜息をつき、床に散らばってしまったボールを拾い上げた。


「なっ、なにしてんだよ!」


ぱっと腕を取り動きを止められる。
こちらを睨みつけるその瞳には、一割の不満と、二割の心配、そして七割の嫌悪で出来ていた。
別にと返事をし、作業を続ける。
ゴールドは慌ててもう一方の手も取り、やめろと叫んだ。


「・・・・・・いいっつーの。一人でできるから」


ぷいっと顔を背けるその姿は、ひどく奴らしくなく、むしょうに腹が立った。
倒れた際に打ち付けた右腕で奴を殴り、大丈夫だとアピールしてみせる。
しかし馬鹿には通じなかったみたいで、よけいその顔の痛々しさはひどくなった。


「やめろって言ってんのがわかんねーのか!!」

「お前に指図される覚えは無い。それにこのぐらいの打撲など、ほっとけば治る」


ゴールドはさらに言い返そうとしたが、ふいに聞こえてきたガチャンという音により、遮られる。
二人同時に扉のほうを見、顔を合わせた。
俺が視線で合図すれば、ゆっくりと頷き恐る恐る扉へと近寄る。
そしておもいっきり扉を横へと引っ張った。
しかし開かない。
青ざめた顔でこちらを振り向いたゴールドに、俺は歩み寄り、今度は二人で引っ張ってみる。
しかしやっぱり開かない。
これはいわゆる・・・・。


「閉じ込められたってつーことか!?」


ゴールドが叫び、俺は頷いた。
なんでそんなに落ち着いてられんだよ!とか言っていたが、騒いだってどうにもならない。
それにどうやらこの事件のおかげで、先ほどのことを忘れたようだし。
扉に手をかけ引っ張ったり、ガタガタと揺らしたりしている。
俺は落ち着いて床に腰かけ、丁度いいところにあった跳び箱を背もたれにした。
くるっと奴は振り向き、もう一度同じことを聞く。
先ほどとは違いその瞳には嫌悪しか込められていなく、それでいいと少し笑った。


「何笑ってんだよ」

「お前の馬鹿さ加減に思わずな」

「んだと!?」

「だってそうだろう?騒いだってパニックを起こすだけだ。どうにもならない。それに、たかが学校の器具庫じゃないか。
そのうち誰か迎えがくるだろう。それを待てばいいだけの話」


そういえばやっと落ち着いたようで、ゴールドも俺と同じようにすとん腰をかけた。
はーと溜息をつき、確かにお前の言うとおりだと呟く。
何処から出したのか飴を口の中に放り投げ、がりっと噛み砕いた。


「確かにまるで漫画のようなベタにベタをぬった展開だが、それはあくまで男と女という前提があってこそ。
俺の大嫌いなお前と居て、なにか起こるわけねーもんな」

「そういうことだ」


互いが互いに無関心なら、何か起こるなどありえない。
ただ一つだけ言わせてもらうなら、この空間はすごく不愉快だということ。
どちらにとっても。
一秒でも早く此処から出たくて、ちらっとドアを見た。
その視線を戻すとき、ふいにゴールドと目が合ってしまい、露骨に逸らされた。
勿論その時奴の顔が赤かったことなど俺は知らない。
そしてそれを見て少し高鳴る俺の鼓動なんて、知る余地も無い!





『なんて不幸でなんて幸福な』





(頼むから早く終わってくれ!!)



END




後書き
お題六発目です!
このお題シリーズ、お持ちかえり可能のフリー小説ですので!
お好きなのをどうぞ。
勿論全部でもいっ・・・・・・・・、こほん、失礼しました。
あ、このお題を持ち帰るときについての注意点なのですが、このお題はお題屋さんから借りたもの
なので、お題の二次配布はしないでね!勿論小説も!
そして自作発言禁止!
あと文だけ持ち帰ってね♪
ここに直接飛ぶようにしないでね♪
それでは、引き続きお題をお楽しみください。
*持ち帰る人は一言ください!