『ナイス!○○』
今日はちょっとチャンピオンのお仕事をお休みして、会いに行く人が居る。
しばらく会って居なかったんだけど、元気にしているだろうか。
僕はポケギアに送られてきたメールを見ながら微笑んだ。
相変わらずぶっきらぼうな文面だけど、これが彼なりの優しさだということはもう分かっている。
アサギシティの港に集合、ね。
確かにあそこから見える海は格別だろうな〜。
せっかくの休みだから、おもいっきり羽を伸ばさなきゃ!
ね、バクフーン。
「?」
隣を歩いていたバクフーンの頭を撫で、少し急ごうかと走り出した。
あの人結構短気だからね。
待たせたら怒るんだろうな〜。
三十八番道路を走りぬけ、アサギシティへと入る。
途中であったミカンさんにおはようございますと挨拶をして、急いで港へと向かった。
「よう!遅いじゃねーか!」
「ごめんね!ワタルさんがなかなか許してくれなくって・・・」
「・・・・・・・ワタルだぁ!?」
「え、あ、たっ、たぶん、ゴールド君が思い浮かべている人とは別人だと思うよ・・?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
妙にワタルさんに反応したな〜。
なんか因縁でもあるのかな〜・・・・・・。
・・・・・・まさか、敵、とか?
いや、それはないよね。
ワタルさんあんなにいい人だし!
ちょっと変態だけど。
「・・・・・・・ま、いいや。とにかく、カントーに行くぜ!」
「えっ、カントー!?だったら鳥ポケモンで行ったほうが・・・・、それかリニアで・・・・」
「俺、リニアパス持ってねぇーし。それに空を飛ぶを覚えているポケモンはいねぇ」
「そっ、そうなんだ」
一瞬船のチケットは持ってるのかとツッコミたくなったが、めんどくさいことになりそうなのでやめておく。
大人しく船へと乗り込むゴールド君の後についていき、カントーを目指す。
途中何度か他のトレーナー達とタッグバトルをし、船旅を楽しんだ。
やけに周りの女子が騒いでいたのは、ゴールド君がかっこいいからだよね?
僕も女の子だったら、あんな彼氏が欲しいと思ったかもしれない。
「いや、たぶんヒビキを見て騒いでたんだと思うけどな、俺は」
「そうかな?」
「仮にもチャンピオンだしよ・・・・・っと、すまねぇ」
僕の表情が歪んだのを見てすぐに謝るゴールド君。
どうやら僕が前に言ったことを覚えていてくれたらしい。
特別扱いされるのは嫌だって。
やっぱり本当は優しい人。
言葉とか態度はぶっきらぼうだけど、伸ばされる手はとっても優しい。
この優しさは、一体誰のものなのだろうか。
育っている環境がいいと、こうなるのかな?
「おっ、見えてきた!カントーだカントー!」
「・・・・・・・いや、どっちかというと、子供、かな?」
きゃっきゃっとはしゃぐゴールド君を見て、本当にこの人僕より年上なのかと思ってしまう。
精神年齢は、僕より下、なのかもしれない。
・・・・・・・・いや!駄目だよそんな事思っちゃ!
これがゴールド君のいいところだよ、うん!
「・・・・・・・・どうした?」
「えっ!?なっ、なんでも」
いつの間にかこっちを不可解そうな目で見ている。
慌ててごまかしちゃったけど、絶対怪しかったよね。
うう〜、おもいっきり見てるし。
なんか恥ずかしいよ〜。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
『まもなく、クチバシティに着きます』
船内アナウンスがそう告げ、ゴールド君が行くぜ、と僕の腕を引っ張る。
微妙に痛い気がするのは、もしかして怒っているから?
悪いことしちゃったな〜。
後で謝らなきゃ。
「ゴっ、ゴールド君!あの・・・・・、ごめん、ね?」
「・・・・え?あ、何が?」
「だって腕・・・・・・・・」
「え、・・・・・・あっ、わりぃ!!」
パッと手を離し、ばつの悪そうな顔をする。
どうやら無意識だったらしい。
怒ってるわけでもないのに、どうしてだろう。
何か理由でも?
「あー・・・・・・、つい癖で、な」
「癖?」
「おー、シルバーっつうやな野郎がいてな。そいつを引っ張るときの癖で・・・・・」
そっ、そんな癖あるんだ。
かなり痛かったけど、いつもそんな事されてるの?その人。
そんなに嫌いな人なんだ。
珍しいな・・・・・・、誰とでも仲良くなれそうなのに。
「まあ、気にすんな!みんな待ってるしよ、早く行こうぜ!」
「え・・・・・・、みんな?」
「おう!・・・・・・・・・あ、居た居た。レッド先輩ー!」
港の入り口に居る男の人に手を振るゴールド君。
こちらに気づいたのか男の人はにこっと微笑むと、僕達に近づいてくる。
よくみるとその後ろにはもっとたくさんの人たちが。
頭がツンツンな人、なんだか色気・・・?のあるお姉さん。
麦藁帽子の男の子?に、2つ結びの女の子。
それに食べてばっかりの女の子に、ポケモンにブラッシングしている男の子も。
でもその中で僕が一番気になったのは、赤髪の男の子だった。
雰囲気や服装がカナデにそっくりで・・・・、ちょっとびっくり。
「レッド先輩!こいつが前に話したヒビキってやつです!すっごい強いんですよ!」
「そうなのか?よろしくな!ヒビキ」
「あ、よろしくお願いします」
レッド先輩、という人が手を伸ばしてきたので僕も手を出す。
ぎゅっと握れば、僕よりだいぶ手が大きい。
なんか少し傷ついちゃうけど、しょうがないよね?
僕って小柄だし。
見たところ僕より年上そうだし。
しょうがないよね?
「じゃあみんな、どこに行こうか」
くるっと振り返ったレッドさんがみんなに聞く。
食べてばっかりいた女の子が食堂がいいったい!と答え、麦藁帽子の男の子はトキワの森に行きたいですと答える。
他の人たちはあまり意見が無いみたいだけど、何処に行くんだろう。
僕は落ち着いて休めるところがいいな〜。
「レッド先輩、それなんですけど、ハナダの岬とかどうですか?きっと海が綺麗っスよ!」
「ハナダか、いいな!でも、ちょっと遠くないか?」
ゴールド君は他の人たちと楽しそうに話し合いをしている。
なんか僕だけなじめない感じ・・・・。
なんで僕此処につれて来られたんだろう・・・・・。
・・・・・・・・・きっ、気まずい。
というか暇?
どうしよう〜。
「悪かったな。ゴールドの暇つぶしにつき合わせて」
「え、あ、赤髪の人・・・・・・・・」
いつの間にかカナデにそっくりな男の子が僕の側に居て、少しびっくりする。
この人本当にカナデにそっくりだな。
こうやって近くで見ると・・・・。
でも、頭の先は跳ねてないんだ。
よく見ると髪色もこの人のほうが落ち着いてるし・・・・。
やっぱり全く同じひとは居ないんだ。
僕とゴールド君もよく見ると似てないしね。
「いいです、別に。今日はチャンピオンのお仕事おやすみなんで」
「・・・・・・・・そうか?」
「はい」
あ、笑った。
カナデってあんまり笑わないからこの人もそうなのかと思ったけど・・・・、結構さまになってる。
優しい笑み。
カナデが笑うとこんな感じなのかな?
いいな、カナデが笑ったところ見てみたい。
「そういえば、俺たちの名前分かっているのか?」
「えっと、その、分からない、デス」
「・・・・・全く、ゴールドの奴、説明ぐらいしてやれないいのに」
う、恐い。
さっきはあんなに優しい笑みだったのに、今は無表情だし。
この人もゴールド君のこと嫌いなのかな?
二人とも仲悪いんだ。
あ、まさか、僕から何かゴールド君の弱点を聞きだそうと近づいて!?
だっ、駄目だよそんな事!
友達を裏切るなんて・・・・・・、第一、恐いし。
「・・・・・ああ、すまなかったな。俺がちゃんと説明するから。だから恐がらないでくれるか?みんないい人たちだ」
「・・・・・・・・・え?」
「えっと、俺はシルバーだ。あっちのゴールドと喋っている人がレッド先輩。その向こうに居るウニあた・・・・・、もといトンガリの人はグリーン先輩。
その向かいに居る髪の長い人は俺の姉さんで、ブルーっていう名前だ。あの麦藁帽子をかぶっている人はイエロー先輩。2つ結びの女は、クリスだ。
青いバンダナみたいのをしているのがサファイアで、ポケモンの手入れをしているのはルビーだ。・・・・・・分かったか?」
「あ、うん。分かった。えっと、シルバー・・・・さん?ありがと」
「・・・・・・・・・別に」
あれ?今の表情・・・・・・、どこかでみたような。
えーと、もう少しで出てきそうなんだけどな。
なんか、こう、ゴールド君の顔しか浮かんでこないのはなんでだろう。
・・・・うー、なんかこうもゴールド君しか浮かんでこないとむかつくぞ。
特にあの満面の笑みが・・・・・・って、あ!そっか!
どこかで見たと思ったら、ゴールド君が照れたときの表情にそっくりなんだ!
・・・・・・・・・そういえば、ゴールド君がくれる優しさも、こういう不器用なものだな。
・・・・・・・・・・まさか、ね。
「おーい!お二人さーん!結局間をとってセキエイ高原って事になった!早く行こうぜ!」
いつの間にかみんなが遠くに居て、ゴールド君がそう叫んだ。
僕は慌てて意識を元に戻すと、バクフーンをボールに戻す。
あんなに大人数で歩いてるとちょっと迷惑だしね。
寂しいけど、仕方ないか。
てか、どうして間がセキエイ高原なんだろう・・・・・。
「はぁ、相変わらず騒がしいやつめ。・・・・・・ヒビキ、行くぞ」
「え、あ、うん!」
シルバーさんに手を引かれて、走り出す。
ぎゅっと握った手は驚くほど体温が低かった。
・・・・・・・でも、暖かい。
これって・・・・・・・・。
・・・・・・・・うん、やっぱりさっき感じたことは間違いではなさそう。
シルバーさんの優しさって、ゴールド君から貰ったものなんだ。
あれ?でも二人は仲が悪いんだよね?
うーん、わかんなくなってきた。
・・・・・ま、いっか!後で考えれば!
「・・・・・・ふふ」
僕はこんな休日も悪くないとひそかに微笑んだ。
「よし!じゃあバトルしようぜ!」
「なんでだよ」
セキエイ高原についたとたんレッドさんはそういった。
本人いわくセキエイといったらバトルらしいんだけど・・・・、そうなのかな〜?
でも確かにここってチャンピオンロードがあるし、チャンピオンが居るところだし・・・・・って、僕がチャンピオンだった。
なんかこの人たちといると僕がチャンピオンって事忘れるな。
さっき道中でみんなと話したけど、それぞれの戦いのスタイルがあって面白かったし!
とくに驚いたのは、クリスタルさんの捕獲テクニックだな!
グリーンさんの育成テクにも驚いたけど・・・・。
話を聞いてるとレッドさんって強いらしいし・・・・、確かにバトルしてみたいかも!
たまには目上の人とバトルしなきゃ!
「レッド先輩!俺考えたんスけど・・・、俺が孵して、グリーン先輩が育てて、レッド先輩が戦ったら最強じゃないっスか!?これ!」
「確かに言われてみればそうだな!・・・・・でも、それじゃあつまらないだろ?」
「それもそうっスね!」
・・・・・・・?
どういうこと、なのかな?
いまいちまだこの人たちのこと理解出来てないから、話についていけないよ〜。
なんとなくみんなそれぞれ得意分野があるって分かったけど・・・。
うーん、つまり、レッドさんがバトルセンス、グリーンさんが育成テクって事?
・・・・・じゃあ、ゴールド君は?
「・・・・・・・ゴールドは個体値、だな」
「ふえっ!?・・・・あ、なんだ、シルバーさんか。えっと、なんの事?」
「顔に出てる」
僕、そんなに顔に出やすいかな〜。
でも個体値って、たしかポケモンそれぞれがもつ能力のことだよね?
たしかたまごから孵したポケモンは親の個体値を受け継ぐらしいけど、あ、まさか。
「・・・・・チート?」
「・・・・・ともいう」
なっ、なるほど。
つまり個体値マックスね。
それは強そうだな〜。
いくら僕でも敵わないかも。
だから面白くない、か。
そりゃそうだよね。
圧勝できる勝負なんてつまらないもの。
実際僕がそうだったし・・・・。
「俺それぞれの個性を生かしてやればいいと思うんだよね!とういうことでグリーン!俺とバトルだ!」
「何故そうなる」
「いいじゃん別に〜!ほら、やろうぜ!」
そういってグリーンさんを引っ張ってどこかへいってしまうレッド先輩。
・・・・いいのかな?
今日は一応みんなで遊びに来たんだよね?
「全くレッドは・・・・・、でも、面白そうね!私達も行きましょ!イエロー!」
「はっ、はい!」
「シルバー!俺とバトルだ!この間みたいにはいかないぜ!」
「・・・・・・・仕方ないな、そんなに負けたいのなら付き合ってやる」
「んだと!?負けねーっつうの!」
「じゃあ、私が審判やるわね!」
「おう、よろしくな!クリス!」
「任せて!」
「ルビー!勝負ったい!」
「全く・・・・・、美しくないね、君は。でも、いいよ、久しぶりに付き合ってあげるよ」
「いい覚悟ったい!」
「僕のコンテストバトルは、それほど甘くないからね」
「・・・・・・・・・・・なんか、いい雰囲気?これって・・・・・・」
ふと僕の頭に思い浮かぶ人物。
何故だろう。
むしょうに彼に会いたくなっちゃったや。
それは僕にとって彼が・・・・・・、
「あっ、あの!僕、もう帰ってもいいですか?」
「「「「「「「「「・・・・・・・・、勿論!」」」」」」」」」
「ありがとうございます!」
ナイスライバルだからだよね!
END
後書き
・・・・・・・まず、最初に一言。
やっと終わったぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!
いや〜、頭の中に話の構成がなくてまいったまいった。
でも終わりました!やっと!
リクエストしてくださったあおい様、大変遅くなって申し訳ございません!
何週間たってるんだよ、って感じですよね。
今回は比較的真面目に書かせていただきましたので!
いや〜、やっぱライバルっていいですね〜。
他の人とは違う何かがありますよね!
・・・・・・・・・・でも、私が書くとそのよさが出ていない・・・・・。
・・・・うう、めげるもんか!
なんだかそろそろ忙しくなってきそうです!
拍手お礼文の更新、1000hitお礼小説の後書きで触れたこと。
あと連載!ただいまのろのろとやっているところです。
今年はちょっと時期にやばいのですが、頑張りどころです!
これからもよろしくお願いします!