『ミルクとハチミツ』


「ブルー先輩〜、こないだ借りた漫画返しに・・・・、あれ?何してるんスか?」

「見て分からない?観察よ」

「わからないッス・・・」


初夏のある日、ゴールドはブルーに借りた漫画を返すべく生徒会室を訪れた。
やたらと豪華な生徒会室の扉を開けた先に居たのはビデオカメラを持ったブルーで、ゴールドは首をかしげた。
彼女がとっているのは空でもなくはたまた部屋でもなく窓の下だったのだ。
面白いこと大好きの彼女からしてみれば、珍しい行動である。


「ゴールド、せっかくだからあんたもこっちに来なさい」


手招きしながらゴールドを呼ぶブルー。
しぶしぶゴールドは窓際によった。
ひょいっと下を覗いてみると、そこには見知った顔がいて、思わずあ、と声を上げた。


「レッド先輩!それにグリーン先輩じゃないッスか」


生徒会室から見える裏庭には、自分の大好きな先輩が居たのだ。
ゴールドは嬉しそうに大好きな先輩を見つめる。
いささかウニ頭の先輩が邪魔のようなきもするが、まあそれは目をつぶろう。
自分って偉大だな、と思ったゴールドであった。


「ええ、私さっきからあの二人を観察してたのよ。なかなか前に進まないもんだからイライラしちゃうわ」


嬉しそうにレッドをみつめるゴールドを見ながら、ブルーはそういった。
しかし肝心の後輩は下に居る先輩に夢中で聞いちゃいない。
こっそりため息をつくブルー。
しかしその表情はどこか楽しそうでもある。


(今度はゴールドをターゲットにしましょう♪)


知らぬが仏とはまさにこのことである。
















一方そのころ、裏庭のほうでは・・・・・・。


「・・・・・まいりましたね〜、出るにでられなくなっちゃいましたね」

「・・・・・・・なぜ貴女ががここに居るんだ」

「クリスタルさんと待ち合わせしてたんですよ。そしたら向こうのほうから足音が聞こえるでしょう?思わず隠れちゃいました」


茂みにかくれ、ひそひそと話をするのは二年のシルバーと三年のイエロー。
イエローは待ち合わせのためにここに来て、シルバーは昼寝していたところをイエローに捕獲された。
捕獲というよりは無理やり寝る場所を強制移動させられた、といったほうが的確だろうか。
とにかく、誰かの足跡が聞こえたため、とっさにイエローはシルバーをひっぱり、茂みに身を潜めたのだ。
まあ、その際に頭を強く打ちつけ、シルバーは起きてしまったのだから、機嫌が悪いのは当然といえるだろう。



「やっぱり隠れなくてよかったかもしれませんね。二人のラブシーンなんてみたくありませんから」


抱き合う二人の先輩を見ながらイエローはそんなことをいった。
シルバーはちらっと自分の先輩達を見たが、ため息しか出てこない。
どうして今日自分はここを昼寝場所に選んでしまったのだろうか・・・。
そう後悔するシルバーだった。























「シルバー先輩お可哀相に・・・」

「なんで二人は茂みに隠れてるっと?」

「サファイアには分からないよ」

「う〜、馬鹿にするなったい!」



屋上でお昼を食べていたルビーとサファイアは、そこから見える光景について話をしている。
なんとなく何があったのかわかるルビーは、シルバーの不運をあんじ、サファイアは訳が分からず首をかしげていた。
屋上の手すりに乗り出し下を覗くサファイア。
ルビーはそれを落ちないようにささえる。
そこからはちょうど抱き合っている二人の先輩の姿も見えるわけで、またため息をつきたくなるルビーだった。


「あっ、レッド先輩とグリーン先輩ったい!」

「はいはい、そうだね」

「二人はなんで抱き合ってると?寒いち?」

「サファはまだ知らなくていいからね」


てすりから引きずりおとし、またもとの場所にサファイアを座らせるルビー。
サファイアは不機嫌そうに頬を膨らませていた。


「サファイア、僕の作った弁当はおいしい?」

「ごまかすなったい!」

「じゃあまずい?」

「そんなことは言ってないっとよ!」

「そう、よかった」


そのまま弁当を食べだすルビー。
サファイアも最初は不機嫌そうにしていたが、弁当の香りに誘われて、自然と箸がおかずに伸びていた。
それをみてにっこりとルビーは微笑んだ。


(僕からサファイアが目をはなすなんて、一瞬たりともあってはならないんです)


ちらっ下にいる先輩達に目を向ける。
相変わらずの状況だったが、今はサファイアがこっちを向いているからどうでもいい。
そう思い、ルビーはまたサファイアとの食事に集中した。














場面が変わりここは再び生徒会室。
ブルーとゴールドはソファーに座りながら二人を眺めていた。



ふとケーキを食べていたゴールドが口開く。


「ブルー先輩。二人はなんで抱き合ってたんスか?」

「あら、ラブラブなのはいつものことじゃない」

「そうですけど・・・・なんかいつもより」

「ラブラブが激しい?」

「・・・・・・・まあ、そうッスね」


苦笑いしながらゴールドはそういった。
ブルーはくすっと笑うと、窓の外でラブシーンを演じている二人を見ながらこう言った。


「喧嘩した後の二人の関係は、ミルクとハチミツってとこかしらね」

「ようするにすごく甘いってことッスか・・・・」


げんなりとした声でゴールドは言う。
ただでさえ暑い夏なのに、今年はもっと熱くなりそうと感じるみんななのでした。 お終い。







END