『未来予想』


夢の中の俺は傍観者だ。
そこに居る俺は俺であり俺ではない。
たとえ俺が喋っていたとしても、本当の心は別にある。
だから普段なら絶対に言わないことも夢なら言うし、夢でなら起こる。
夢の中の俺はただ動くだけ。
そして現実の俺は夢ではただの傍観者。
見ているだけ。
とめる事も、叫ぶ事も出来ないただの傍観者。
時々夢の中とは実はいうともう一つの世界なのではないかとさえ思えてくる。
それほどにそこに居る俺がやる行動は不思議で、理解できない。
でも所詮夢だ。
好きにさせておけばいい。
というのも、今までそれほど不愉快な夢を見なかったからなのだが。
だからこれほど不愉快な夢は初めて見た。
出来ることならば今すぐ夢から覚めたい。
もしくはとめたい。
しかしそのどちらも叶わず、俺はただ傍観するだけなのだ。


「お帰り、シルバー。今日はご飯先にするか?それとも風呂?」


まるで当たり前のようにそういうアイツに寒気がした。
いかにも新婚という感じでニコニコと、嬉しそうにエプロン姿で聞いてくるアイツは普段のアイツからは想像できなくて。
やっぱりこれは夢なのだと再認識する反面、夢の中の俺が答えた言葉にも寒気がした。
夢の中の俺は嬉しそうに笑うと、アイツのおでこに軽くキスをして、今日はご飯からと甘く呟くのだ。
夢の中だというのにあまりの気持ち悪さに倒れそうになってしまう。
倒れるなんてことは絶対にありえないのだが、あまりのことに意識が遠のく気がしたのだ。
とにかく気持ち悪い。
頼むから今すぐやめて欲しい。
といっても、聞こえるはずもないのだが。
なにしろ夢の中ではこれが当たり前らしい。
部外者は俺。
ならば今の俺に何が出来よう。
目を逸らすことも出来なければ、耳をふさぐことも出来ない。
黙って成り行きを見守ることしか、出来ないのだ。


「今日は腕によりをかけて作ったぜ!」

「ああ、ありがとう。どうやったらまるこげになるのか今度教えて欲しいぐらいだ」


料理の腕は現実とたいして変わらないらしい。
見事と褒めたくなるぐらいに全部こげている。
一体何を作ったのだろうか。
現実のアイツでももう少しマシなものを作る気がする。
俺だったら絶対に食わんが、夢の中の俺はおそらく・・・・・・。


「・・・・・・・・ごちそーさま。今度は俺が作るよ」

「美味しくなかったか?・・・・・・・わりぃ・・・・・・・・・」


食べるんだろうな。
そして素直に謝るアイツもどうだ。
普通ならここで一発殴っているところだがそんなそぶりは全く無い。
泣きそうになるアイツを慰めて、今度は風呂へと。
二人一緒に入るのかと疑問が出てきたが、どうやらそうらしい。
これも当たり前、か。
小さな体の俺たちでさえめったに入らないのに、いい年した大人が二人で・・・・・。
やっぱり理解できん。
夢の中の俺の行動は。
そして奴の行動も。


「ふー、いいお湯だったな!次は何する?ゲームでもするか?」


頭のレベルは基本的変わっていないらしい。
風呂上がったらゲーム・・・・・、今と全く同じ生活じゃないか。
大人になったんだから少しぐらい仕事をして欲しいものだ。
さすがにこれは断るだろう。
どうやらやり残した仕事があるらしいから。


「今日は遠慮しておく。また今度な?」

「えー・・・・・・・・・・」


不機嫌そうになった奴の髪を撫でて、仕事場へといく俺。
勿論奴もその後をついていく。
現実の俺らなら文句の一つでも言って喧嘩になったあと、結局一緒に行くんだろう。
まあ、夢の中の俺らは手を繋いで仲良くいくみたいだが・・・・・。
・・・・・・・なんか、鳥肌がたったきがする。今。
仲良くとか、がらじゃない。
いい加減終わってくれないだろうか。
この夢。


「シルバーすげー。いいなー、俺も仕事してぇー」

「お前は駄目だ」


夢の中の俺の手元を見ていた奴は、ふとそういった。
しかし夢の中の俺が賛同する様子は無い。
ならこいつが一日中家に居ることは俺が望んだことだというのか?
そんな想像しただけで疲れが出そうなことを?
・・・・・・・・ありえない。
普段の俺なら絶対にありえない。
でも、


「お前は仕事なんかしなくていいんだよ。家で帰りを待っていてくれたほうが・・・・・」

「・・・・・・・ほーんと、シルバーちゃんは甘えん坊なんだから」


あながち嘘でもない。
確かに奴がずっと家にいるなど気が気じゃない。
それでも、家に、部屋に居てくれたほうが安心するのは・・・・・。
俺が奴に嫉妬しているから?
外で他の奴らと仲良くしているとこをみて、危機感を感じているから?
・・・・・・・・・・・・・なんて、な。
口が裂けても言わないけれど。
おそらくはそうなのだろう。


「シルバーちゃん。寝ようぜ」

「ああ、もうこんな時間か」


夜の一時ごろ、やっと消灯。
当たり前のように一つのベッドに寝転がった俺たちは、お互いに手を繋いで眠りの中へと入っていく。
もう喋ることはないだろう。 これで夢も終わりだと一安心したところ。
ふと夢の中のアイツが意識だけのはずの俺を見た気がした。
隣で眠る俺と見比べては可笑しそうに笑い、最後に口ぱくでこう告げた。
『未来予想図。・・・・・なんてな』












「・・・・・っ!?」


びっくりして起き上がれば、いつもの風景が広がっていた。
体も、声も、ちゃんと俺の意識どうりに動いてやっと現実世界だとほっと息を吐いた。
またそのままベッドに体を預けて、目をつぶる。
今度はあんな夢もう見ない。
・・・・・・ああ、でも、やっぱり見たいかもしれない。






END





後書き
今更なんですけど、ゴールドの名前一度も出てきてませんね。
みんな分かってくれたかどうか不安です・・・・・。
でも、分かる、よね?
うん・・・・・・・・。
はい、とういうことでまた駄目作を書き上げた作者です。
いや〜、今回も夢ネタでしたね。
よくみるとこのサイト夢ネタが多いんですよ〜。
よければ探してみてくださいね。
さて、此処で一言・・・・・。
『お題多すぎるんじゃぁぁぁぁぁ!!!!!!!!』
・・・・・・、以上、心の叫びでした。