『目を開くと其処は』


強い光を感じ目を開く。
すると其処にはどこまでも続く草原が広がっていた。
穏やかに流れるとき、これこそが、俺の望んだものだとおもった。
静かに立ち上がり、辺りを見渡す。
するとこちらに近づいてくる人影が見えた。
誰だろうかとおもったが、それが大好きな義姉だと分かりほっとする。
アイツじゃなくてよかった。
・・・・・・・、アイツって、誰だ?。




「ヤッホー!シルバー、元気にしてた?」

「うん、大丈夫だよ。姉さん」


彼女はにっこりと微笑み、俺の頭を撫でる。
心地よい。何者にも邪魔されない世界。
ここは俺が望む世界そのものだ。
大好きな義姉が居て、穏やかなときが流れる。
邪魔な奴は何処にもいない。
幸せな世界。
でも、少し物足りないと感じるのは、何故だろう。


「後で久しぶりにレッドたちに会いに行きましょうね」

「・・・・・・あのトゲ頭も居るの・・?」

「トゲ頭?・・・ああ、グリーンのことね!大丈夫よ、あいつはレッドとラブラブだから」


初めて知った事実に少し驚く。
最近やたら姉さんと会っていて殺してやろうかと思ったが、そういことだったのか。
まさかレッドさんと・・・・、人とは分からないものだ。


「イエローさんは?」

「・・・イエローね、イエロー。う〜ん、ちょっとキャラ崩壊中かしら♪」


レッドさんのことが好きだったイエローさんは、どうやら色々とやばいらしい。
昨日もグリーンさんを殺しかけたそうな。
あの大人しそうな人が・・・・、凄い。
人とは本当に分からないものだ。


「えっと、クリスは?」

「クリスはエメラルド君と仲良くやっているわよ。この間なんか二人でお買い物に」


そうか、あの二人か。妙に納得するところがあるが、すこしおかしいと感じるのは何故だろう。
彼女はもっと普段別なことをしていたような・・・・。 そう、誰か一人の少年の、世話をしていたような気がしないでもない。
だがそれがエメラルドだったのかもしれない。
随分昔のことだから、きっと忘れているんだ。


「サファイアとルビーはどう?」

「あの二人は相変わらず。全く、見せ付けてくれるわ」


やれやれといった様子で肩をすくめる。
どうやらあの二人のラブラブっぷりは変わってないらしい。
少し会いに行くことを躊躇する。
みんながみんな相手が居るのに、俺が其処にいってもいいものだろうか。
久しぶりにみんなには会いたいが、邪魔になってしまう気がする。
それに一人になるのは目に見えているし、どうするべきか。


「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・あら、もしかして邪魔になるとか思ってる?」

「え、嫌別に」

「もう、隠さなくてもいいのに」


そういって抱きしめられる。
かあっと顔が熱くなり、なるべく義姉の顔を見ないように意識する。
鼓動が近くで聞こえ、姉さんも緊張していることが分かった。


「私もあまり。だから、いっそのこと二人で。なんてどう?」

「え・・・・・・・・」


思いがけない言葉に硬直してしまう。
俺が姉さんと・・?
それはすごく幸せなこと。
断る理由なんて何処にも無い。
なのに、どうして俺は戸惑っているんだ?
なにか大切なことを忘れている。
そう、何か・・・・・・。


「・・・・ゴールドは?」


ポツリと出た言葉に自分でも驚く。
義姉も驚いたらしく、きょとんとこちらを見つめてくる。
その瞳が誰、ゴールドってと物語っていた。


「・・・ゴー、ルド?誰のことかしら。知り合いなの?」


まるで今はじめて呼んだ様な呼び方。
それに凄くどきりとした。
ゴールドなんて男、俺が知るはずも無い。
知らないはずなのに、どうしてこうも心が騒ぐのだろう。
『てめーのことなんて、大嫌いだっつうの!』
頭に響く声が、やけに大きく聞こえた。
こんな声知らないはずなのに、こんな男知らないはずなのに、どくんどくんと心臓が波打つ。
時々みせる弱った姿だとか、俺を引っ張るその強引な姿勢だとか、全部全部知らないはずなのに、鮮明に思い出される。
俺はゴールドという男を知っている・・?
じゃあ何故、大好きな義姉は知らないんだ。
まさか、まさかとはおもうが、

「俺だけが知っているのか・・?」

「シルバー?」


心配そうにこちらを覗き込む姉さん。
彼女は知らない。ゴールドという男を。
ひょっとしたらみんなも知らないのか?
この世界に、そんな男は存在しない?
全ては俺が作った幻?
でも、それでいいのかもしれない。
あんなわずらわしい奴など、居ないほうが・・・・・・・・・。


「・・・・シルバー、泣いているの?」

「っ・・!」


自然と流れる涙。
恐い。
アイツが此処に居ないことが。
嫌だ。
アイツの声が聞けないなんて。
居なくてもいい。
わずらわしいアイツなんて。
聞きたくない。
俺を強引に引っ張る声なんて。 矛盾した答えが渦巻き、頭が痛くなる。
しだいに目の前が真っ暗になり、叫ぶ義姉の声も聞こえなくなった。
そんな俺が最後に思い浮かべた姿は、大好きな義姉ではなく、太陽みたいに笑うあいつだった。















「いい加減起きろっつうの!!」

耳元で聞こえた馬鹿でかい声に、思わず目を開いた。
すると其処はいつもの俺の部屋で、夢だったのかと思った。
こちらを不機嫌そうに見てくるあいつもちゃんと存在して、少し安心したことなど絶対に誰にも話せない。


「お前そんなに寝てばっかいるといつか夢の世界から戻れなくなるぜ」


そういい部屋から出て行こうとするあいつの腕を掴む。
予想外の行動だったのか、バランスを崩しベッドへと崩れ落ちる。
頭を強く強打したらしく、ぎろりと俺を睨んでくるが気にしない。
ぎゅっと存在を確かめるように抱きしめ、ぼそりと呟いた。


「・・・生まれてきてくれてありがとう」


普段の俺なら絶対に言わない言葉。
でも本当にそうおもったんだ。
俺が欲しいとおもっていた世界が叶ったとき、どうしようもなく恐かった。
当たり前のように隣にいるお前がいなかったから。
いつも俺のそばで馬鹿をやって、強制的に俺まで巻き込む。
ずっと居なくなればいいと思っていたけど、それが叶ったときどうしようもなく嫌だった。
だからこれからもずっと俺の側で、馬鹿をやっていてくれ。


「・・・・・シルバーちゃん壊れた?」

「それでもいい。お前が居るなら」


やっぱ変と呟いて、ゴールドは顔を赤くさせた。
もっと力強く抱きしめ、また眠りにつく。
今度は寝心地のいい夢がみられるはずだ。
そして起きたら、こいつを蹴飛ばそう。
幸せな夢を見た後は、いつもの日常って事だ。



END


後書き
お題二発目です!
このお題シリーズ、お持ちかえり可能のフリー小説ですので!
お好きなのをどうぞ。
勿論全部でもいっ・・・・・・・・、こほん、失礼しました。
あ、このお題を持ち帰るときについての注意点なのですが、このお題はお題屋さんから借りたもの
なので、お題の二次配布はしないでね!勿論小説も!
そして自作発言禁止!
あと文だけ持ち帰ってね♪
ここに直接飛ぶようにしないでね♪
それでは、引き続きお題をお楽しみください。
*持ち帰る人は一言ください!