『クリスマスのキセキ』



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


今日、起きたら珍しくあいつがいなかった。
何かあったかと覚めない頭をひねってみたが何も出てこない。
しかしクリスマスイブの日にいないのもあいつらしいと言ったらあいつらしいのでほっとくことにした。
きっと冬休みというものに入ってハイになっているのだろう。
俺に迷惑をかけなければそれでいい。
そう言い聞かして俺はベッドから出た。


ピーンポーン・・・


「?」


着替えてる途中にチャイムが鳴り不思議に思う。
いったいこんな朝に誰だろうか。
冬休みに入ったというのに随分暇な奴もいたもんだな。
まあどうせアイツの客なんだろうけど。
あいにく俺には尋ねてくるような仲の人はいないからな。
わざわざ出てやるのもめんどうだ、無視を決め込もう。


ピーンポーン・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ピーンポーン・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ピーンポーン・・・


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


ピーンポ・・・・ガチャッ!!


「うるさい!さっきからなんのよう・・・だ」



あまりにもしつこいので出て文句を言おうと思った口が止まる。
そこには俺のよく見知った人物がいたからだ。
その人物はへらりと笑い軽く手を振ってみせる。
そして細められていた目を開くと、笑いながらどすの聞いた声でこういってくる。


「俺を無視するなんていい度胸ですねー・・・。東京湾に沈めてあげましょうか。シルバー先輩」


「ハート・・・」



おもわずため息をつきたくなった。
というのもこいつにかかわるとろくなことがないからだ。
少なくとも俺にとってプラスにはならないだろう。
目の前でにっこりと笑っちゃいるが内心何を考えているのか・・・。



「っと、いけね。そんな事を言いにきたんじゃなかった。えーと、シルバー先輩!
おはようございます!」


「・・・・ああ」


「まずは俺が一人目です!心して聞いてください!いいですか?行きますよ〜?」


あいさつをしてきたと思ったらいきなり訳の分からない事をいいだす。
頼むから主語を抜かずに話してくれ。
なんのことかさっぱり分からん。
お前はゴールドと違って頭がいいんだろう?
だったらその頭を馬鹿な使い方せずにちゃんと使え。


「・・・こほん。あわてんぼうのサンタクロース♪クリスマス前にやってきた♪急いでリリリン♪
急いでリリリン♪鳴らしておくれよ鐘を〜♪リリリン♪リリリン♪リリリン♪・・・って、これは
違いますね。こっちです」


どっかで聞いたことあるような曲を少しだけ歌うとハートはまた咳払いした。
そして落ち着いた音程でまた歌いだす。
それは誰もが一度は聞いたことある曲だった。
しかしなぜこの歌をこのタイミングで歌ったかは分からない。
いったい何故だ?



「ハッピーバースディトゥーユー♪ハッピーバースディトゥーユー♪ハッピーバースディディアふふふふ〜ん♪
ハッピーバースディトゥーユー♪・・・・・・・おめでとうございます!」


「・・・・・なんのことだ?」


「はい、次はここに行ってくださいね!」



質問をした俺には答えず、自分のことだけちゃくちゃくと進ませていくハート。
俺の手に紙を握らすとにっこりとした笑顔でこう言った。


「ばっくれたら俺が首に縄つけてでも連れてきますから♪」


目が本気だったのは言うまでもないと思う。
仕方なく紙を開けばそこには体育館と書いてあった。
そしてその隣に2と3と書いてある。
つまりなにか?ここには二番目と三番目がいると?
・・・・・・・意味が分からん。
ちゃんとしっかり説明してくれ。



「俺一年S組ハートからは歌のプレゼントでした〜!それでは失礼します〜」


しかしそう願ってもハートがしっかりと説明してくれることは最後まで無かった。
そのままにこやかに立ち去っていくハート。
本当に何しにきたんだ?
俺はまたからかわれたのか?
・・・・・いや、そんな感じはしなかった。
アイツは意味のないことはしないやつだ。
つまりこれにも何か意味があるのだろう。
本当は体育館になんて行きたくないが意味のないことをしないやつが言ったんだ。
行かなければ命が危ういだろう。
・・・・・・・・行くしかないか。 俺はため息をつき部屋のドアを閉めた。










「・・・・・あっ、本当に来た〜」


体育館にいけばそこにはレッド先輩とソウルが居た。
レッド先輩はこちらを見てにっこりと笑い、ソウルは複雑そうな顔をした。
まるで哀れむような目だ。
一体なんだというのだろうか。



「それじゃあさっそくやるか!」

「何をですか」


この人もつくづく主語が抜ける人だと思う。
すぐさま反論すれば何がというような目でこちらをみてくる。
何がを言いたいのはこちらなのだが言ってはならないのだろうか。


「えーと・・・、ハート、から聞きませんでしたか?」


今まで黙っていたソウルがさすがに耐え切れなくなったのかそう聞いてきた。
聞かなかったのかって、一番目とか無駄な歌ぐらいしか俺はきいていない。
後はここに来ることぐらいだ。
他に何があった。



「一番目とか歌ぐらいしか聴いていない。その後ここに来るように言われた」


そのまま伝えればじゃあ大丈夫ですねといわれてしまう。
何が大丈夫なんだ何が。
俺は全く理解していないぞ。



「それじゃあはじめましょうか。二対一のバスケットボールを」

「は・・・・」

「勿論シルバー先輩が一人ですからね」


何が勿論だ!
言っておくが俺はやる気はないぞ!
第一なんでそんな事をやらなくてはならない!
バスケ部所属のレッド先輩に勝てるはずがないだろう?
・・・・まあ、やってみなくてはわからないがな。




「あ、やらないと言っても無駄ですよ?レッド先輩が怒りますから」

「そうそう〜」



これはもう強制的らしい。
俺は仕方なく着ていたコートを脱ぎ、動きやすい格好にした。
そして試合開始のホイッスルが鳴る。


ピー!!!












「終わった・・・な」


レッド先輩が汗をハンカチで拭きながらそういった。
ソウルは息を整えていた。
俺はというととくになにをやるわけでもなく二人をぼ〜と見てるだけ。
どうやら二人は俺に手加減をしてくれたらしい。
全く疲れなかった。
ソウルはともかく手加減するなんて普段のレッド先輩からは考えられない。
一体どうしたんだろうか。




「さて、と、これで俺ら二人からは終わりだな!」

「えーと、俺達二人からはスポーツのプレゼントでした。おめでとうございます」

「おめでとー!」



パチパチと拍手を送られよけいに訳が分からなくなる。
レッド先輩がパチパチと拍手している間にはい、とソウルが白い紙を渡してきた。
そこには脅しにも取れる文字でこう書いてあった。


『次は生徒会室に向かうように!そこに四番目と五番目が居る!行かなかったら・・・。ハートより』



俺はまたため息をつきレッド先輩とソウルにお礼を一応いい、体育館を出た。












「いっらしゃーい!シルバー」


「姉さん・・・」



生徒会室をあけたらまず出迎えてくれたのはブルー姉さんだった。
そのおくにはイエロー先輩も見える。
どうしてだろう。物凄く逃げたい気持ちになるのは。




「さあ座って座って!」


ソファーに座るようすすめられ腰をかける。
イエロー先輩からは紅茶をすすめられた。
何も入っていないか不安になるのはこの人の普段が凄いからだとおもう。
口に出したら殺されそうなので安易には口に出さないが。



「さてと、ハートたちから聞いたわよね?」

「いえ全然」


向かいに座った姉さんにそういわれ即座に否定する。
そうすればあらそうなの?と頭を撫でられた。
もう子供じゃないので出来ればやめてほしいが嫌でもないので何もいわないでおく。
この手が凄く心地よいのはきっと俺の姉さんだからなんだろうな。
とても優しい手・・・・。普段はいえないけど大好きだ。




「まあ聞いてなくてもいいわ。私からのプレゼントはこれよ!はい!」


そいって差し出されたのはなにやら結婚についてとでかでかと書かれた本だった。
姉さん・・・・・、いったい俺をどうしたいんですか?
そして俺はどうすればいいんですか?
素直に受け取っていいんですか?


「そのうち役に立つわよ!」


はい、と手に握らされた。
そのうちって・・・・・・、役立てたくないんですけど。
ただの結婚ならまだマシなんですけど、これ、あきらかに同姓婚って書いてありますよね?
本当に姉さんは俺をどうしたいんですか?


「僕からはこれです。惚れ薬です。言うことをきかなかったらこれで・・・・。まあ誰とはいいませんが」


隣に座っていたイエロー先輩から小さな小瓶に入ったピンク色の液体を渡される。
なんかみるからに体に悪そうだ・・・・。
しかも惚れ薬だって?
言うことをきかなかったら使えばいいって?誰に
ふっと軽く笑ってみるがそのとき一人だけふと思い浮かんだ人がいた。
それは勿論姉さんではない。
しかしそいつに惚れられたいかといわれれば微妙だ。 もしろ気持ち悪い。



「まあ気が向いたら使えばいいですよ。あ、僕の力作なんで捨てないで下さいね」


にっこりと笑っているが目が笑っていない。
つまり捨てたら命がないと?
・・・・・分かった。これは引き出しの奥に永久保存しておくとしよう。



「それじゃあシルバー。次は貴方の教室に行きなさい。あいてるから」


ブルー姉さんにそういわれたら逆らえない。
俺はまたため息をつき自分の教室へと足を進めるのであった・・・。
















ガラ・・・・・・。


「あっ、シルバー先輩来たっとよ!」


教室に来てみればそこにはサファイアとルビーが。
この二人ならいたって安全か。
俺はそう思い窓際のほうで喋っている二人に近づいた。



「えーと、まずおめでとうったい!」

「おめでとうございます」

「・・・・・・ありがとう」


こちらもレッド先輩らどうように一応お礼を言っておく。
何に対しておめでとうといわれているかわからないがどうやら俺にむけて言われているみたいなので。
一応ありがとうと。


「・・・・・・?」


おめでとうといった後の二人はどうも様子がおかしい。
とくにサファイアにいたってはちらちらっとルビーを見て、何かを躊躇しているようだ。
ルビーはそれに対してうなずき、仕方がないよ、といった。


「う〜・・・・・、ごめんち!シルバー先輩!許しくれったい!」


そういいながらサファイアは俺の頭をおもいっきり殴った。


ごんっ!

「っ・・・・・・・・・」


あまりの衝撃に俺はそのまま崩れおち、情けないことに気絶してしまった。



「えーと、僕達からは一応安眠のプレゼントです。はたしてこれが安眠かどうかは分かりませんが・・・、ゆっくり寝てください」



最後にルビーがそういった気がした。


















「・・・・・・・・シルバー?起きた?」


「っ・・・・・・・」


目が覚めたら目の前にクリスとグリーン先輩が。
きょろきょろと辺りを見渡せば大量の机がある。
どうやら教室からは移動してないらしい。
しかし窓の外は来た時とは違って、つきが夜空を照らしていた。



「起きたのね?良かった。それじゃあ行きましょう」


「行くって・・・・、どこへ」


そう聞けばふふっとクリスは笑った。
グリーン先輩は無表情でこちらをみ、こう説明してくれた。



「俺達はただの道案内だ。後はそこに居るものから貰うんだな。・・・・ああ、一応これだけは言っておこう。
おめでとう」

「私からも、おめでとう」


二人におめでとうといわれ、ああ、まただと思ってしまった。
今日は朝からなにかがおかしかった。
なにがってハートが俺の部屋に来た時点からだ。
あの男が理由もなしに俺の部屋にくるはずがない。
つまりこれはしくまれたことなのだ。
だから俺が今ここにいるのは必然、そしてその案内してくれるとかいう場所に行くのも必然なのだろう。
だとしたら諦めるしかない。
なるようにしかならない。
俺は本日何度目かのため息をつき、立ち上がった。
それをみてクリスは微笑み、グリーン先輩は歩き出した。
いったい何処へつれてってくれるというのだろうか。













「・・・・・・屋上?」


つれてこられたのは屋上に通じる階段。
二人を見たら頷くだけでそこから進もうとはしなかった。
つまり一人で行けと。
俺は再び前を見て、一歩、また一歩とゆっくり足を進めた。
そしてついに屋上の扉の前まで来る。
そのさび付いたドアをゆっくり開け、屋上に入る。
ドアはぎーという音をたててしまった。
ああ、寒い。
こんな日は、早く帰って寝たいものだ。



「ようシルバーちゃん。遅いお着きで」


ふと後ろから声がし、見れば朝から見かけなかった男がそこにいた。
この寒いのにコートもマフラーもしていない。
馬鹿は寒さも感じないのだろうか。
今度辞書で調べてみよう。



「なーんか馬鹿にされてる気がするな。まあいいや。心の広い俺様は許してやろう。なんてえらい子なんだろうな、俺」



そういうやつの手は赤くなっていた。
いったいいつからここで待っていたのだろうか。
一時間前か?・・・・いや、下手するとそれより前かもしれない。
というか、何故こいつはここにいる。
そして俺は何をしているんだ。



「ひどく不愉快な話をするぜ。・・・・どうやら今日は世間で言うクリスマスイブらしい。それだけなら
俺様もたいして問題が無かった、が、どうやら今日は俺が世界で一番嫌いな人間の誕生日らしい。
しかもみんなが祝ってやれとさ。そんな事天と地がひっくり返るほどありえねぇ。普通ならな。
だけど今日はクリスマスイブだ。たまにはそんなキセキがおこってもいいんじゃねーかってな。
お前はどう思う?」

「・・・・・・・・知らん」

「可愛くねーやつ」


やつ、ゴールドは、一歩一歩俺に近づいてきた。
そして数歩離れた距離で足を止めると、頭をかきながら、めんどくさいというようにこう言った。



「・・・・・・今日は誕生日なんだよ。俺が世界一嫌いな奴の。・・・・・・だから、おめでとう。
そして生まれてきてくれてありがとう。シルバー」


そういったとたんみるみるやつの顔は赤くなっていく。
やっぱ慣れねぇことはするもんじゃねぇ!とかぶつぶつ呟いていたが、俺にとってはそんなことどうでも良かった。
そうか、今日は俺の誕生日だったのか・・・。どうりでみんな・・・・。
ふぅっとまたため息をつく。 これで何度目だろうか。
だけどみんなが悪いんだ。
こんなありえない、幻想的なことをするから。
しかし・・・・・・・・。


「ゴールド」


「なっ、なんだよ・・・」


いまだ顔を赤くしているゴールドに近づき、悪戯で気まぐれなキスを送った。
奴はひどく驚いていたが今日は抵抗も反抗もしなかった。
ああ、なんて幻想的な。ありえない。
だけど・・・・・・・。



たまには幻想というものを信じてみるのも悪くないかもしれない。
なんたって今日はクリスマスイブ、キセキが起こる日なんだから。









END




後書き
やっちまった感が滲みでてるぜ・・・・。だが後悔はしていない←しろよ
しかも無駄に長いというな。一応シルバーお誕生日小説のつもり。一日遅れたけど。
・・・・いや、超えちゃったんだよ・・・・。小説書いてる間に・・・、日付・・・。
うん、もっと早くから書き始めればよかったね☆忘れてたんだ☆(てへっ)
しかしこれでキスありエンド迎えるの二回目だな・・・。
俺かかなすぎ。
だけど頑張ればかけるし・・・・、リクエストがあればきっと・・・・。
・・・・・大丈夫、だよな?
・・・・・・・・・・・・・・・・はは。