あるところに、金の名を持つ少年と、銀の名を持つ少年が居ました。
名前からしてか、二人の性格は正反対!
同じ家にすんでいるのにとっても仲が悪く、良く周りの人間を困らしていました。
さてはて、そんな二人の事ですから、お互いのことなんてどうでもよく、相手のことなんて気にかけもしません
・・・・・・・・・・・・・ということはなく、お互いがお互いのことを意識しあっているのでした。
そんなある日のことです。
金の名を持つ少年は、ふと自分が銀の名をもつ少年に恋愛感情に近いものを抱いていることに気づきました。
そのおかげで、絶望とも取れる不の感情が彼の心にたまっていきます。
嘘だ!俺があいつを好きなはずなんて無い!
だって俺はあいつをだいっきらいで、あいつも俺を大嫌いなのだから!
好きなんて事はありえない!あってはならない感情なんだ!
俺は何にもとらわれない。一人で生きていける。
どうしようもなく寂しくなるなんて嘘だ!
彼は必死にその思いを否定しました。
しかし日に日に思いは増すばかり・・・
彼はどうしようもなく自分が嫌になりました。
あいつがそばにいるだけで安心するなんて、一緒にいてくれないと不安なんて・・・・・。
俺はこんな弱い人間じゃなかったのに!
それからというもの、まるで彼は自分の思いをかき消すように、弱い自分を見せないように、今まで以上に気丈にふるまいました。
そのせいか、だんだんと銀の目を持つ少年との喧嘩回数が増えているようです。
彼はそれに気づいていましたが、気づいていないふりををしました。
さて一方、銀の目を持つ少年はというと、こちらもあまり心中穏やかではありませんでした。
最近喧嘩回数が増えているからなのか、どうも彼と顔を合わせることが少なくなっています。
顔を合わせても喧嘩するばかり。
前までは十回に一回ぐらいは喧嘩しない日もあったのに、今ではどうでしょう。
喧嘩しないほうが珍しくなってきています。
彼は妙にいらっとしました。
何に?
自分以外とは仲良くしている金の目の少年を見て、です。
自分とは喧嘩ばっかしているのに、他の奴とは仲良くする、それが妙に許せませんでした。
しかし自分と仲良くしてほしいか、といわれると、答えられません。
彼との関係は喧嘩だけのつながりといってもいいと思っていましたので、仲良く、なんて言葉は合いません。
でも自分以外には笑いかけてほしくないのです。
自分だけを見てほしいのです。
あきらかな独占欲、銀の目の少年は、それを認めませんでした。
彼と自分との間には何の関係も無い。
今こそが正常。
そう言いきかし、彼とのすれ違いの日々を過ごしてきました。
そうこの二人の感情は、互いが互いを認めないがためにおこった恋愛感情なのです。
認めればらくになるものを、彼らはそれを選びません。
彼らが互いを好きといえる日は、きっと一生こないでしょう・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・ハート、何これ?」
「俺が書いた小説。やっぱいまいちか?」
「いや、俺はこれによく似た人たちを知っているような気がして・・・・・・・・」
「気のせいだって」
「そうかなー・・・」
「気のせい気のせい。俺は少なくともこんな不器用な恋愛はしたくないね。二人とも両思いなのにさ」
「まあ、確かにそうだな」
「恋は複雑な感情、ってか?」
「否定はしない」
「何それ?ソウルちゃんも好きな人いるの?」
「ああ、それもすごく身近に」
「へー、誰それ。でも、ソウルなら誰だって落とせるよ。自信もて!俺が保障する!」
「・・・・・・・・・・ああ、ありがとう」
「おう!」
(応援してくれるからこそ、お前には言えないんだ。ああ、片思いでも、両思いでも、)
『恋は複雑な感情』
(だな・・・・・・・)
END