『欲しいものは2つある』


騒がしい毎日。
休まることの無い身体からだ
たまに見つけた休暇を使っては、此処に来るのが好きだった。
しかししばらくそれも無くなるだろう。
何故なら山を越えた所にある村で、魔物が出たという噂がたったからだ。
どうやら俺の出番らしい。
量から見て一ヶ月はかかるそうだ。
つまり今はつかの間の休暇中ってこと!


「随分とマイペースな勇者だな」

「・・・・・・・よぉ、こんな所まで追ってきたのか?魔導師君」


山に沈む夕日を眺めていたら、それを邪魔する声一つ。
犯人が誰かなんて確認しなくても分かる。
俺の唯一のパーティーメンバー、魔導師のシルバー君。
ちゃーんとばれない様に撒いてきたというのに、本当にむかつく奴だぜ。
こうもあっさり見つけられるとな。


「お前の考えそうなことぐらい分かる」

「あーそうですか」


相変わらず生意気なことで!
こんな愛想のねぇ根暗魔導師なんざ、すぐ追い出してぇ所だが、残念なことに実力は確か。
あっという間に大量の魔物を倒したときには、この俺が不覚にも見惚れちまった。
だがまあそんなもんはほんの一瞬のこと。
ぼぉ〜と見つめる俺に向かってあいつは一言。
『雑魚が』
と言いやがったんだ。
はっと我に返り、立ち去ろうとするあいつに向かって一言。
『うるせーよ!この根暗魔導師!!』
その時はまだ根暗なんて分からなかったが、ほら、見た目的に。
しかもどうやら図星だったらしく、あろうことか俺を攻撃してきやがったんだ。
勿論このゴールド様がやられっぱなしなはずがなく、やり返した。
で、大喧嘩。
木はなぎ倒すは森は燃やすはもうはちゃめちゃ。
本来の依頼、『森に居る魔物を全滅させる』っつーのは達成したけど、この喧嘩のせいで森そのものが消し飛んでしまった。
おかげでギルドマスターから大目玉くらってよ!
しかも挙句の果て俺には協調性がないだの言って、このむかつく根暗魔導師と一緒に一年間旅をしろという。
冗談じゃねぇ!!と、俺は断ったんだ。
奴も同感だったらしく、こんな加減をしらない雑魚剣士と一緒に旅をする義理はないと言いやがる。
むかつく言い方だったが、意見は一致しているので見逃してやった。
なんて心の広い俺!
ギルドマスターもこの偉大さを見習って欲しいぜ!
でも、あいにくギルドマスターにそんな広い心は持ち合わせていなかったらしく、じゃあギルドに要求されている賠償金、お前らが払うか?と言った。
俺もあいつも無言の否定をし、そこで一緒に旅をすることが決定した。
精々仲良くしろよ!と笑うギルドマスターをどんだけぶっ飛ばしたいと思ったか。
それが半年前の話。
そして今現在にいたる。


「・・・・・もう半年、と言うべきか、まだ半年というべきか」


ぼそっとそう呟けば、シルバーは違うと否定した。
どういう意味だという意味を込め、睨みつければ、奴は笑ってこう言った。


「たかが半年」

「なるほど」


思わず納得し、そっちの方が俺ららしいと思った。
もう半年でもなく、まだ半年でもない。
たかが半年。楽なもんだ。
一人の時とは違って喧嘩がおきる毎日。
だが依頼の成功率はぐんとあがった。
一ヶ月で大体十から〜十二ぐらいはこなすようになった。
俺一人でも十分なんだが、まあ敵が多いときは便利かなと。
今じゃ最強コンビと言われるまでになっている。
コンビっつうのは納得できないが、最強という響きはここちよい。
俺にこそふさわしい言葉だ。


「あのときのお前はとても勇者と思えなかった。今もだがな」

「うるせーよ。くそシルバー」


これも懐かしい話。
旅を始めた頃こいつは俺のこと勇者ではなく剣士だと思っていたらしい。
何度言っても馬鹿にされたが、あるときを境に急に勇者と呼ぶようになった。
何があったかは知らないが、まあ物分りの悪い魔導師君も、やっと理解出来たということだろう。
いまだに態度が変わらないのはどういう了見かしらねーが、心の広い俺は許してやってる。
感謝しろよ!


「・・・・・・で、行くのか?」

「何がだ?」

「魔物退治」


指で山の向こうを指す。
やれやれ、そんなことまでばれてんのかよ。
ほんっとむかつく魔導師だぜ。


「ああ、今のところ一ヶ月かかるらしいけど?」

「そうか、ならさっさと準備しろ」

「てめーに言われなくても分かってるっつうの」


よっと重い腰をあげ、次の依頼の為気合を入れる。
背中に背負っていた大剣を抜き、一振り。
目の前の空気が切れ、びゅんっと大きな音がたった。
よし、体調は万全だ!
さやに剣を戻し、村にもどるため夕日に背を向ける。
丁度シルバーの横を通り過ぎたとき、おいっと声をかけられた。


「・・・・・・・・なんだよ」


足を止めてそう言うが、振り返りはしない。
ふぅーと溜息をつく音が聞こえ、しばらく沈黙が続いた。
奴はこれ以上の沈黙は無意味と判断したのか、やっと口を開いた。


「俺は今欲しいものが2つある」

「へぇー、お前にも欲しいものとかあったのかよ。金か?力か?名声か?」


からかうようにそういえば、違うと真剣な声で否定される。
さすがに笑いを止め、また沈黙が続いた。
いい加減痺れを切らして帰ろうとしたとき、奴はまた口開く。


「最強の金の光と、平穏」

「・・・・・・・・そりゃまた、無理な話だな」


くるっと振り返りそういってやった。
こちらを見つめてくる銀の光が、まっすぐに俺を、いや、金の光を捉えている。
随分と無理な話を言ってくれるじゃねーの魔導師君?
平穏なんて、俺と居る限り絶対にありえねぇ。
そして俺は誰にも屈しない。
無茶な話だ。
その願いは一生叶わねぇーな。


「まあ、後半年の間に精々頑張ってみれば?」


ぱっと視線を逸らしまた歩き出す。
その後ろであいつが自信ありげにこういうのが分かった。


「お前も精々逃げるがいい」


逃げるだぁ?
バーカ、俺を誰だとおもってんだよ。
勇者のゴールド様だぜ?
俺の辞書に逃げるなんて文字は無いの!
いつだって立ち向かって倒す。
ただそれだけだろ?
俺も、お前も。


「一週間で終わらせてやるぜ。魔物退治」

「望むところだ」


さあ、またはちゃめちゃで忙しい日々のスタートだ。




END




後書き
お題三発目です!
このお題シリーズ、お持ちかえり可能のフリー小説ですので!
お好きなのをどうぞ。
勿論全部でもいっ・・・・・・・・、こほん、失礼しました。
あ、このお題を持ち帰るときについての注意点なのですが、このお題はお題屋さんから借りたもの
なので、お題の二次配布はしないでね!勿論小説も!
そして自作発言禁止!
あと文だけ持ち帰ってね♪
ここに直接飛ぶようにしないでね♪
それでは、引き続きお題をお楽しみください。
*持ち帰る人は一言ください!