「ふわぁっ・・・・」


今は5限目
数学の時間だったのでサボろうと計画していたが、クリスに見事見つかってしまい、今にいたる。
だいたい、方程式だのなんだの興味ねーんだよ。
んなもん絶対生涯でつかわねーだろ!
俺は断言してやる、今後方程式だのを使うようなことがあったら一生真面目に勉強するってな!
まっ、あるわきゃねーけど。


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


くそ長い教師の話を聞いてるとだんだん眠くなってくる。
しかしここで寝ると後でクリスに説教されることは目に見えているので、なんとか眠気を覚まそうと辺りを見渡せば、暇そうに窓の外を覗いている男が目に入る。
んだよあいつ。
俺様が真面目に授業受けてるっつうのによ!(聞いちゃいなかったけど)
許さねぇ、なにか痛い目合わせてやる!
眠気も手伝ってか、いつも以上にイライラし、シルバーに八つ当たりしようと試みる。
しかし今は授業中。
立つわけにはいかねーし、一体どうすれば・・・・・。
ふとそんな俺の右手に何かが触る。
何か無いかと机を探っていたが・・・、出てきたものは白紙の用紙。
仕方ないからこれでいいか、と妥協し、くるくると丸めてポンッとシルバーに投げる。
よし!命中!


「・・・・・・・・・・・・」


シルバーは飛んできた紙を拾い上げると、ちらっ俺のほうを見て、シャープペンシルを持つ。
左右に動いているところを見ると、何か書いているのだろうか・・。
まっ、どうでもいいけど。
そう思い前を向けば、頭に何かが当たる。


「イテッ」


別に痛くは無かったが、反射的にそういってしまった。
頭上から落ちてきたものをみると、それはさっき俺が投げた紙。
まさかと思いシルバーのほうを見れば、涼しげな顔をしていた。 あの野郎・・・!
しかもご丁寧に『馬鹿』とまで書いてある。
随分むかつくことしてくれるじゃねーか!!
ぜってー痛い目にあわせてやる! 俺はシャーペンを持つと、馬鹿と書かれた下に、『馬鹿はお前だ!』と書いて投げ返した。
するとすぐに返ってくる返事。
返ってきた紙を広げると、『少しは授業に集中できないのか。それだからお前は馬鹿なんだ』と書いてある。
俺はまたイラッとして、シャーペンを握りつぶさん勢いで握ると、乱雑に悪口を書き出した。
もうこうなってしまっては最後、止められはしない。
そこからは気が狂ったように書き続けた。
俺が悪口を書けばあいつも悪口を書いてくる。
いつの間にか白紙の用紙は、半分ぐらいまで字で埋まり、ふと手を止めた。
ここまではただの悪口だったが、もしここに愛の言葉でも書いたらあいつはどんな顔をするんだろうか。
ただ悪口を書くのも飽きたし、あいつの間抜け顔も見たい気がする。
愛の言葉をあいつに送るなんて吐き気がするが、それはまあ、シルバーの野郎も同じことだろう。
それならそれでいい気がする。
これはあくまでも悪戯、ただの好奇心。
特に意味があるわけじゃねぇ。
俺は自分に言い聞かせるようにそういうと、思いつくかぎりの愛の言葉をそこに書き、また相手に投げた。
少し躊躇したが、まあそれは、あれだ。
なるようになれってことで!
シルバーは投げ返された紙を開くなり、動きを止めた。
ちらっと俺のほうをみて、少し考えるそぶりを見せると、さらさらっとそこに何かを書いた。
きっと罵倒か悪口のどっちかなんだろうな。
そう思いながら投げ返された紙を開くと、そこには意外や意外。
俺が思いもよらなかったことが書いてあった。


『こちらを見ろ』


言われたとおりにするのも癪だったが、ここで見なかったら俺が逃げ出したみたいになる。
仕掛けたのは俺だ。
だったら最後まで覚悟を決めて付き合うべき。
それにあいつから逃げ出すなんてあってはならないことなんだっつーの!
しぶしぶ顔を上げてシルバーを見れば、かすかに動く口元。
えーと何々?
『お』
『れ』
『も』
・・・・・・・・・・・・・・・・・俺も!?
すぐにその言葉を理解して、かぁ〜と顔が熱くなる。
くすっと意地悪く、あいつが笑った気がした。
なんだよ俺もって!?
つまり俺がこの紙に書いたこと全てを俺に返すってことか!?
好きだとか愛してるとかずっと一緒に居たいとか、冗談じゃねーよ!! んなことあってたまるか!
あってはならないんだ!
顔が赤くなってる自分自身を否定するように、今度はありったけの悪口を書き込む。
そしてそれを投げ返せば、また喧嘩の始まり。
そう、これこそが正常。
俺達が互いに愛し合う、なんて、あっちゃなんねーことなんだよ!
・・・・・・・・・・・・・・でも、投げた紙に否定の言葉を一個も書き込めなかったあたり、俺は随分といかれてんのかもしんねぇ。
しかもそれはシルバーの野郎も同じときた。
あいつもさっきの言葉を訂正することは無かったんだからな!
つーことは何か?
俺達は互いに愛し合ってるってこと?
ラブラブハッピーエンドってか?
・・・・・・・冗談じゃねーよ!!!!



『白紙から始まり』



(ちょっと!何やってんのよあんた達!)
(げっ、クリス!)
(・・・・・・・・・・・・・・・)



END



後書き
書き直し第七弾!
とはいっても、あまり直してない。
さり気なく気に入っていた作品だったので、ほんのちょっと文章を変えただけ。
大まかな流れは何も変わってないです。
いや、こういう授業での出来事って、結構好きなんですよね。
一度でいいから手紙とか回してみたいよな〜。
そんな想いからできた作品でした。

2012年6月10日 管理人渚