『グッバイ神様』



オッス!俺は天使のゴールド様だぜ!
今日も元気に人助け中!・・・・なんてな。
人助けと見せかけて悪戯しているだけだけど。
交通事故に遭いそうになった人をめちゃくちゃ浮かせてびっくりさせてみたり・・・。
学校に遅刻しそうな人をワープで連れてってやって驚かせてやったり!
やめられねぇーよな!この快感!
俺は人が少し困ってるの見るのが楽しいんだよ!
えっ?天使にあるまじき発言だって?
よくあるこった!気にすんな!



「さーてと、今日はどいつに悪戯しようかな〜・・・・・、・・・・・・・・お、あれは・・・」


ぷかぷかと空を浮かびながら困っている人もとい悪戯相手を探せば、さらに面白いものを発見。
俺らとは正反対のあの世の生物、世に言う悪魔ってやつだ。
漆黒の羽で浮かびながら下界の様子を伺っている。
へっ、なにか?お前もターゲットを探していると?
そうはさせないぜ!このゴールド様がいる限り、お前ら悪魔の思いどうりにはさせねーよ!
こっちの力で邪魔してやるぜ!
そう意気込み天界との通信器具の電源を切った。
なんでかって?
そりゃあ天界にこのことがばれるとやべーからだ!
本当は悪魔を見たら手を出さずに逃げなくちゃならねーんだ。
時々天使を堕とすために下界に来ている悪魔がいるらしいからな。
万全の準備をとれってわけ!
でも逃げるなんてかっこわりーだろ?
それに面白くねぇ!!
ようするにばれなきゃいいんだよ。ばれなきゃ。
上手く邪魔してみせようじゃねーの!


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


建物の影にかくれこそっと様子を伺う。
だいたいあの悪魔から25キロぐらい離れている。
そんなに離れて大丈夫なのかって?
馬鹿にすんなよ。
俺はこう見えても上級天使なんだ。
俺の攻撃範囲、つーのは悪いたとえかもしんねーけど、魔力が届く範囲は50キロなんだぜ!
これでも近いほうだ。
だけど一応天界のメンツをたてるためにこの距離にしてやった俺!
なんて健気なんだろうな!自分で自分を褒めたいぐらいだぜ!
っと、いけね。あの悪魔が動いた。
馬鹿騒ぎはここまでにして、集中するか。
ぐっと身構え相手の様子を目で追う。
どうやら歩行者を狙っているらしい。
トラックの運転手を操り大量虐殺しようってか?
よくある手だな!車の暴走に見せかけて、ってやつか!
でも、つーことは少し厄介だな。
どうやらやつも上級者らしい。
・・・・・あ?何で分かったんだって?
それはな、悪魔にも階級というものがあってな、人を操れるのは上級者の悪魔だけなんだよ。
だから分かったって訳!
・・・・なんでそんな事天使である俺が知ってるって?
まあそれは前捕まえた悪魔を締め上げてやったからだな!
そいつからばっちり情報貰ってやったぜ!
まっ、勿論天界には報告してないけど。
これで実は10人目のターゲットだとか絶対いえねーからな!
そのうち二件は失敗しちまったけど逃げ切れたし。
どちらも上級者だった。
つまり今回も何とかなるって訳!


「行くぜ!」


相手が魔力を発動したと同時にこちらも魔力を発動する。
この距離だと届くのに随分時間がかかるからな。
トラックを止めるのはまず無理だろう。
つーかそんな面白くないことやりたくねぇ。
どうせ止めるんだったら面白くな!


ドッゴーン!!!!!


俺が天力を発揮したとたん、大きな音がした。
青ざめる歩行者どもに、ピクリとも動かないトラック。
そしてそのトラックを全力で受け止める女子高生。
平たく言えば、俺も人操って止めた!
目には目をってな! 女の子でやったのは少々悪かったかもしれないが、面白ければ全てよし!
よし、そんじゃあ逃げるか・・・・・・・・・。



「・・・・・・っ!?」


やべ。
一瞬だけど、一瞬だけどその悪魔と目があってしまった。
こんな距離気づくはずが無いって言いたいけど、悪いことにその悪魔はこっちを見てにやりと笑ったんだ。
気のせいだと思いたいが気のせいではないだろう。
やべー、逃げなきゃ。
俺だって堕とされるのはさすがに嫌だかんな。


「どこへ行くんだ?」

「・・・・・・!?」


逃げようと身を翻せば、目の前にあの悪魔が居るじゃねーか。
驚いてさっきまで奴が居た場所を見れば、誰もいねぇ。
こいつ、かなりできるじゃねーか・・・。
ちょいと、やべーかもな。


「てめっ・・・・・、なんでここに!!」

「おかしなことをいうものだな。お前だってこのぐらいの芸当できるだろう?」

「・・・・・そういやーそうだな。おめーも一応上級だっけな」


上級同士ということは俺が出来ることはあいつも出来る。
あいつが出来ることは俺も出来るということだ。
その魔力に違いがあるだけでやっていることはほぼ同じ。
厄介極まりねぇ。


「・・・・・・俺が上級だとよく分かったな。天界の情報網か?」

「さあな」

「まあおそらくは、お前がその辺の悪魔でも縛り上げて、聞き出したのだろうがな」


ちっ、ばれてやがる。
嫌なヤローだぜ。
その上さっきから逃げ出す隙伺ってんのに、隙がねぇ。
こうなると、天界との通信切ったのはまずかったかもな。
あれがありゃー、誰か応援に駆けつけてくれたかもしれねーのに。


「それにしても随分柄の悪い天使様だ」

「悪かったな。生憎こちらと普段の人助けでストレスたまってんだよ」

「人助け?アレがか?俺には悪戯にしか見えなかったがな」

「うるせーー!!」


核心をつかれ、顔が赤くなる。
んだこいつは!!
むかつくったらありゃしねー!!
いっそのこと攻撃して、二度と人目に出られねー様な容姿にしてやろうかぁ!?


「・・・・・・何を考えているかが筒抜けだな」

「あぁ!?」

「本当はちょっとからかうだけのつもりだったが、気が変わった。そっちがその気なら、こちらも容赦はしない」

「っ!?」


アイツがそういった瞬間、空気が変わった気がした。
背筋に何か走り、悪寒しかしない。
ヤバイ。
本能的にそう悟り、その場から逃げ出そうと、強制転移術を使おうと試みた。
が、


「逃げるな」

「・・・なっ!?」


術の発動途中に、アイツが無理やり何かを割り込ませてきた。
おかげで術は失敗に終わる。


「逃げるなんて面白くない事をするな。先に仕掛けたのは、そっちだろう?」


まさしくにやりという表現が正しいんじゃねーかっていう、そんな表情をアイツはして。
今更ながら俺はこいつが悪魔なんだと認識した。


「・・・・・・っ、分かってるつーの!」


逃げらんねぇ。
俺はそう思うと、掌に天力を集めた。
それを見てアイツはまた例の表情で笑い、自分の掌に魔力を集める。


「そうこなくては、面白くない」

「後で吠え面かいて後悔しやがれっ!!」

「・・・・上等だ。お前が勝てば、いくらでもしてやろう。だが、お前が負ければ・・・・・・」


堕ちてもらう。
空気がそう振動して、俺はひそかに笑った。
へっ、上等じゃねーか。
どーせこのまま天界に帰ったところで、神様に説教喰らうのは分かってんだよ。
なら、清々しい勝利でも手土産にして、堂々と天界に帰ってやろうじゃねーの。
おまけに悪魔の一匹でもつけてな。


「んじゃ、いっちょはじめよーかぁ?」


挑発的に笑って。
相手も笑ったら、戦闘開始の合図。
さぁ、後悔するのはどっちだ?





END




後書き
書き直し第六弾!
後半部分をかなり書き直しました。
そして書いてる途中で飽きてうやむやに終わらせたという。
・・・・・・ま、気にしない気にしない。
結局どっちが負けたんでしょうね。
そして昔の私はいったい何が書きたかったんだ。
甘さは一ミリもないという。
・・・・・・うん、まあ、次に期待しといてください。
では、今日はこの辺で!
また次回お会いしましょう!

2012年6月10日 管理人渚