『だってこの先にはきっと』
俺には2つ年が違う兄貴が居る。
兄貴は秀才で、俺は馬鹿。
そのせいか親はやたらと兄貴と俺を比べる。
やれ兄貴はこうだとか、やれ兄貴のようになれとか、うざいったらありゃしねぇ!
俺は俺。どう足掻いたって兄貴にはなれねーんだ!
元々なるつもりもねーけどよ!
「あー、ほんっとむかつくぜ。さっさと死んでくれねーかな。糞兄貴」
「そういうことを本人の前で言うのはどうかとおもうぞ」
ぽつりと独り言を漏らしたら、すぐに返って来るむかつく返事。
そういやここ俺たちの部屋だったな。
兄貴が居るとは考えなかったぜ。
まあ、居ても言っただろうということはおいといてよ。
「なんだ居たのかよ。盗み聞きとは趣味がお悪いようで」
「勝手に聞こえてくるだけだ。聞かれたくないのなら、どこか誰も居ないところで叫ぶことだな」
んなこたぁ分かってるよ。
でもよ、誰もいねぇ所で叫んだって、ストレス解消になりゃしねぇ。
誰か居るところで、なおかつそれが兄貴ならベスト。
俺の考えを知らしめてやり、たっぷり恐怖を与えてやるんだ。
それが俺の唯一のストレス解消方。
あ、殴るっていうのもありだけど。
「あーあ、暇だぜ」
「暇ならしたに行ってゲームでもしてきたらどうだ?」
かりかりとシャープペンを動かす兄貴にそういわれてしまう。
こんな昼から勉強かよ。
本当に兄貴は真面目なことで。
そりゃ俺が邪魔なのは分かるけどよ、兄貴の邪魔を出来るのなら俺的にはオールOKなんだよね。
つーか下行ってゲームやろうにも出来ないし。
理由がなきゃとっくに行ってやってるし。
でもあいつらがよ・・・・・・。
「・・・・・・・・・・・・・・・分かってるっつうの」
つまらなそうにそう言い、窓から見える空を見上げた。
空はこんなにも澄んでいるのに、俺は家で監禁生活。
なんて、ちょっと聞こえがわりぃかな。
でももう一週間も外に出ていない。
さすがに学校は行っているけど、それだけ。
寄り道とかしたら殺されるし。
ズキズキと痛む真新しい腕の傷を掴んで、俺はぎゅっと唇を噛み締めた。
「・・・・・・・ゴールド」
「なんだよ」
振り返らずにぶっきらぼうにそういってやる。
ただの八つ当たりだけど、愛されている兄貴がにくい。
兄貴さえ居なければと、何度考えたことだろうか。
でも何度考えても堂々巡り。
意味が無い。
「少し散歩にでも出かけないか」
「はぁ?そんなのあの人らが許すわけねーだろ」
「なんとかするさ」
ぐいっと腕を引っ張られ、強制的に部屋の外に出される。
忙しなく階段を駆け下りれば、すぐに鬼のような顔をしたあの人たちが見える。
兄貴は一言だけ借りるというと、その横を何事もないように平然と通り過ぎた。
「ちょっとゴールドどこに行くの!?」
甲高い声で叫ぶ女。
何故兄貴じゃなくて俺なのだろうかなんて、とうの昔に考えることを捨てた。
あの人たちが怒るのはいつも俺ばっかり。
例えどんな状況だろうと、決まって俺が怒られるんだ。
もう慣れてしまった。
「・・・・・・で、散歩ってここかよ」
「近くていいだろう?」
「あー、そうですね」
あのまま連れてこられたのは、近くの公園。
っていっても、あんまり人が居なくてどっちかというと荒地って感じだけどな。
常に足元に気をつけなくちゃ、転んでしまいそうな所。
しかも向こうのほうには入ったら二度と出られなくなるような森が見える。
一体なんのために作ったのやら・・・。
「あーあ、散歩っていうよりは冒険?ちょっくら森の中探索してくるわ」
「・・・な、駄目に決まっているだろう!?」
兄貴の声なんか無視して、そのまま森の中へと入っていく。
途中までは追ってきた気配がしていたけど、どうやら見失ったらしい。
そういえば昔どこかの森で大量に人が失踪するという事件が起こったな。
ひょっとして此処だったり。
ま、そんな非現実なことあるわけねーけど。
「・・・・・?なんだ?」
しばらく歩いていれば、前のほうに妙な光が見える。
自然とその光のほうに足が向けば、そこは大きな洞窟だった。
不気味に光を放っており、この世のものとは思えない。
ファンタジーの世界かなんかか。
とりあえずかかわらないほうがいい。
そうおもい、その場を立ち去ろうとした瞬間。
「あら、帰っちゃうの?残念ね、ここには貴方の望む世界があるのに」
急に声がして後ろを振り向く。
するとそこには猫耳を付けた髪の長い女が居た。
その綺麗な青い目は、何者も惑わしてしまう不思議な光を放っていた。
「せっかくだから少し話を聞いていかない?ゴールド・・、君?」
「なっ、なんで俺の名前を!」
くすっと怪しげに笑い、そんなに驚かなくてもいいのにと言う。
彼女は俺に近づくと、ゆっくりとした口調でこう告げた。
「この洞窟はね、貴方たちのような不満を持つ人たちが通る異世界へと通じる扉なの。
そこでは貴方の望むもの全てが手に入るわ。・・・・、貴方もこの世界が嫌いなんでしょう?
だから、この洞窟を通って向こうの世界に行ってみない?どう?悪い話ではないでしょ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
返答に困ってしまった。
確かにこの世界にいたって、あの人たちが居る限り俺に幸せなんて来ない。
どこか違う世界に行きたいとも考えた。
あの人と、兄貴が居ない世界に行きたいとかんがえたこともある。
けどよ・・・・・・。
「・・・・・いいや、遠慮しとくぜ」
「あら、どうして?」
「だってこの先にはきっと、本当の幸せなんてありゃしねーから」
そういえば驚いたように目を丸くさせる女。
そしてふふっと可笑しそうに笑うと、残念と呟いて、消えてしまった。
同時に目の前にあった洞窟も消えている。
きつねにつままれたような、とはまさにこのことだな。
ふーと溜息をつき、ふと俺を呼ぶ声がすることに気づいた。
「ゴールド!!」
「よう、兄貴。何、探してくれてたの?それはそれはご苦労なことで」
「・・・・この馬鹿が」
ごつんと頭を小突かれ、乱暴に腕をとられる。
そのまま歩き出せば、汗だらけの兄貴が目に入って、くすっとひそかに笑った。
そう、確かに俺は兄貴を恨んでいるんだけど、でも、本当は凄く感謝している。
だってよ、あの家の中で、俺に愛情をくれるのは兄貴だけなんだ。
いつの間にかかけがえの無い存在になっていた。
ちょっとむかつくけどな。
「はぁー、すっかり遅くなってしまったな」
「溜息つくと幸せ逃げるぜ」
「お前を見失った時点で俺が怒られることは決まっている」
「・・・・怒られる?誰にだよ」
そう笑い飛ばせば、お前が気づいていないだけだといわれてしまった。
何に気づいてないっていうんでしょーね。
兄貴を怒るやつなんてうちには居ないはずだけど。
俺が怒られるの間違いじゃねーの?
・・・・・ま、少しは気晴らしになったしいいか!
END
後書き
お題四発目です!
あ、ちょっとここで補足を。
ゴールド君は自分が愛されてないと思っていますが、実はいうと物凄く大切にされているんです。
昔あるとき交通事故に遭い、それからというものあまり外に出したくなくなってしまったのです。
でも学校には友達が多いから行かせて、何故一週間前から外に出るのが禁止なのかというと、
丁度一週間前ひどい怪我をしたからです。
いや〜、子供を助けるために事故に遭いかけるなんて、かっこいいですね!
親には心配かけてしまったみたいですけど。
それをゴールド君はテストの点数が下がったからだと勘違いしています。
ちなみにシルバーお兄ちゃんは全てを知っています(笑)
え、じゃあなんで昔から比べたがるんだって?
それは兄貴のようになれではなく、少しは自分のために勉強をして欲しかったからですよ。
一人で生きていける為にね。
と、まあこんな裏設定がありますが、そんなものなくても話としては問題ないはず!・・・たぶん。
ではここからお題シリーズの説明です。
このお題シリーズ、お持ちかえり可能のフリー小説ですので!
お好きなのをどうぞ。
勿論全部でもいっ・・・・・・・・、こほん、失礼しました。
あ、このお題を持ち帰るときについての注意点なのですが、このお題はお題屋さんから借りたもの。
なので、お題の二次配布はしないでね!勿論小説も!
そして自作発言禁止!
あと文だけ持ち帰ってね♪
ここに直接飛ぶようにしないでね♪
それでは、引き続きお題をお楽しみください。
*持ち帰る人は一言ください!